従来のカラオケボックスでの宴会を敬遠する若者が増える一方で、歌うことへの情熱自体はかつてないほどの高まりを見せています。その受け皿として今、自宅にいながら同じ趣味の仲間と繋がれる「カラオケ動画アプリ」が爆発的な勢いで普及しているのです。なんと2000人以上の熱狂的なファンを抱える人気歌い手も現れており、スマートフォンが新たなスター発掘の聖地へと変貌を遂げつつあります。SNS上でも「部屋で気軽にフェス気分を味わえる」「推しの歌い手を見つけるのが楽しい」と、若者を中心に歓喜の声が溢れていました。
ミクシィが運営する注目のアプリ「KARASTA(カラスタ)」では、10代から20代を中心に毎月約5万曲もの歌唱動画が投稿されています。1人のライブ配信に対して瞬時に数百人の視聴者が集まる盛り上がりぶりです。画面にはスポットライトのような華やかな映像演出が施され、まるで本物のステージに立っているかのような臨場感を味わえます。視聴者がリアルタイムで応援メッセージを送り、歌い手とファンが一体となって熱狂する空間は、まさにカラオケボックスと音楽フェスが融合したような新感覚のエンターテインメントと言えるでしょう。
この熱潮を受け、同社は2020年01月17日時点でポニーキャニオンとタッグを組んだ大型オーディションをアプリ内で開始しました。優勝者はアニメ映画の主題歌で華々しいデビューを飾れる仕組みとなっており、新しい時代の歌姫がここから誕生する期待感に満ちています。さらに、動画配信プラットフォームの「SHOWROOM」でも、2018年12月に約8万曲が歌えるカラオケ機能を導入しました。これまで主流だった雑談による交流に加え、音楽を通じることで配信者とファンの絆はより強固なものへと進化しています。
アバター文化が生み出す新しい音楽コミュニケーション
ゲーム実況で知名度の高いアプリ「ミラティブ」は、2019年05月にカラオケライブ配信機能を新たに搭載しました。特筆すべきは、自分の分身となる3Dキャラクター「アバター」の姿で歌声を披露できる点です。アバターとは、ネット上の仮想空間で自分を表現するキャラクターのことで、これによって顔を出すのが恥ずかしいと感じる人でも安心して歌声を届けることが可能になりました。恥ずかしさを克服したユーザーたちが、ゲームの枠を超えた音楽の絆で次々と結びつき始めています。
一方、海外に目を向けると中国では「ミニKTV」と呼ばれる無人の超小型カラオケボックスが街中に溢れています。電話ボックスのような個室で1曲約75円という手軽さから、週末には流行に敏感な若者で大混雑する状況です。録音データを中国の定番対話アプリ「微信(ウィーチャット)」経由で即座にダウンロードし、SNSに投稿して友人へシェアできる仕組みが人気の秘密となっています。スマートフォンの手軽さとSNSの拡散力が融合し、現代の歌い手たちの自己表現欲求を刺激している状況が見て取れます。
現在のところ、大手カラオケチェーンを展開するコシダカホールディングスは「店舗での体験とは別物」として、これらのデジタル勢力を静観する構えを崩していません。しかしながら、店舗の防音設備とアプリの気軽さは、今後のエンタメ市場で激しく競合していくと私は考えます。デジタルネイティブ世代の心をつかむために、今後はリアル店舗も最先端のネット配信機能やアバター技術を積極的に取り入れるなど、双方の境界線が消えていく融合の時代が到来するのではないでしょうか。
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