2019年、私たちのエンターテインメント体験は大きな転換点を迎えています。特に注目すべきは、ゲームをプレイする姿をリアルタイムで共有する「ゲーム実況」市場の爆発的な広がりです。東京・渋谷に拠点を置く株式会社ミラティブが展開する配信アプリは、2019年2月に配信者数が100万人を突破するという驚異的な記録を打ち立てました。
ミラティブの快進撃を支えているのは、スマートフォン一台で誰でも簡単に配信ができる手軽さです。SNS上でも「特別な機材がなくてもすぐに始められる」「友達と放課後に集まっているような感覚」といった好意的な意見が目立ちます。こうした心理的なハードルの低さが、これまでの視聴専門だったユーザーを、表現者へと変貌させているのでしょう。
アバター機能「エモモ」が変える自己表現の形
ミラティブ独自の武器といえるのが、VR(仮想現実)技術を応用したアバター作成機能「エモモ」です。これは、自分の分身となる3Dキャラクターを画面上に表示させ、顔出しをせずに配信できる画期的なシステムです。昨今のVTuber(バーチャルユーチューバー)ブームを背景に、自身の個性をキャラクターに託すスタイルが若者を中心に深く浸透しています。
驚くべきことに、2018年8月に開始されたこのエモモの利用者は、既に数十万人規模に達しました。一般的なVTuberの活動者数と比較しても数十倍の規模を誇っており、この数字は驚異的といえるでしょう。単なるゲーム画面の共有に留まらず、アバターを通じて「なりたい自分」として他者と繋がれる体験が、現代人の孤独を癒やしているのかもしれません。
グローバル市場の熱視線と動画プラットフォームの多様化
こうした熱狂は日本国内に留まりません。海外に目を向けると、中国で業界2位の「HUYA(虎牙直播)」がニューヨーク証券取引所へ上場し、時価総額が一時1兆円を超えるなど、巨大なビジネスチャンスとして認識されています。米アマゾンの「Twitch」や、著名VCが出資する「Caffeine」など、世界中で巨額の資金がこの市場へ流れ込んでいます。
また、ショート動画で覇権を握る「TikTok」でも、従来のダンスや料理動画と並んでゲーム実況の投稿が急増しています。2019年12月24日現在、動画コンテンツとしてのゲーム実況は、もはや一部の愛好家のものではなく、日常的なライフスタイルの一部となりました。編集者の視点で見れば、この勢いは今後さらに加速し、メディアの主役を担うはずです。
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