首都圏の企業倒産が2年ぶり増加!2019年のデータから見えてきた人手不足と事業承継の深刻なリアル

2019年の首都圏における経済模様に、少し心配な兆候が見えてきました。東京商工リサーチが発表した最新の調査によると、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県における負債額1000万円以上の企業倒産件数は、2694件に達したそうです。これは前年と比べて4%の増加であり、実に2年ぶりに前年の実績を上回る結果となりました。SNS上でも「景気が良いと言われているのに身近な店が閉まっている」「明日は我が身かもしれない」といった、不安や共感の声が多数寄せられており、多くの人がこの現状を深刻に受け止めているようです。

今回の調査において、倒産に至った主な原因として最も大きな割合を占めたのは「販売不振」でした。実に対象全体の7割にあたる1849件が、売り上げの減少や業績悪化に苦しんだ末の決断だったのです。しかし、それ以上に注目すべきなのは、現代の日本社会が抱える構造的な問題が色濃く反映された点でしょう。それは、従業員や経営トップを確保できないことが引き金となる「人手不足」による倒産です。この原因に関連する倒産は138件を記録し、過去最も多い数値となってしまいました。

ここでいう「人手不足関連の倒産」とは、単に現場の労働者が足りないという問題だけを指すわけではありません。詳しく内訳を紐解いてみると、そのうちの約6割が、会社の跡継ぎが見つからないために事業を引き継ぐことができなくなった「事業承継(じぎょうしょうけい)」の困難によるものです。事業承継とは、会社の経営権や理念、資産を次の世代へ引き継ぐ大切な手続きを意味します。さらに、残りの約2割は、求人を出してもまったく人が集まらなかったケースであり、採用難がいかに深刻であるかが伺えます。

産業別のデータに目を向けると、最も倒産件数が多かったのは789件を記録したサービス業他でした。ですが、それ以上に変化が激しかったのは、前年比で22%もの大幅な増加を見せた小売業と運輸業です。どちらの業界も、私たちの生活に密着した店舗のスタッフや、荷物を運ぶトラックドライバーの不足が叫ばれて久しい分野と言えます。同社も分析しているように、まさに現場を支える人材の枯渇が、企業の存続に直接的かつ強烈なダメージを与えている現状が浮き彫りになりました。

地域別の動向としては、東京都、神奈川県、千葉県で倒産が増加した一方、埼玉県だけは減少するという結果に分かれています。その一方で、首都圏全体の負債総額は5211億円となり、前年比で22%減少しました。これは、過去に発生したような市場に大きな衝撃を与える超大型の倒産が、2019年中には発生しなかったことが要因です。一見すると経済への大打撃は避けられているように感じられますが、裏を返せば、中小企業がじわじわと体力を奪われて倒れていく「街の体感温度の冷え込み」を表しているのではないでしょうか。

編集部としては、今回の結果は日本の労働市場が本格的な変革期を迎えている警鐘だと捉えています。大企業が黒字を確保する一方で、地域を支える中小企業が人手や後継者の不足という、お金だけでは解決できない課題で黒字倒産に追い込まれるケースも少なくありません。国や自治体によるマッチング支援や、働く環境の劇的な改善が今まさに求められています。ただ規模を追うのではなく、限られた人材で持続可能な経営体制をいかに構築するかが、今後の首都圏ビジネスの命題になるはずです。

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