2019年12月25日現在、関西の金融界では地方銀行の勢力図が大きく塗り替えられようとしています。この1年、各行の株価はまさに明暗を分ける結果となりました。その中で圧倒的な存在感を放っているのが、奈良県を拠点とする南都銀行です。同行の株価は年初から約30%も上昇しており、他の地銀が苦戦を強いられる中で「独り勝ち」の状態を突き進んでいます。市場がこれほどまでに熱烈な視線を送る背景には、これまでの常識を打ち破る大胆な決断がありました。
南都銀行が投じた一石は、外部血統の導入という驚きの人事です。2019年2月、中途採用が極めて稀だった同行に、金融庁で地域金融企画室長を務めた石田諭氏が顧問として招かれました。さらに同年6月には副頭取へ抜擢されるという異例のスピード出世を果たしています。橋本隆史頭取と石田氏のタッグは、全137拠点の3割弱を2020年6月までに再編するという、痛みを伴う構造改革を断行しました。この「本気度」が投資家の心を動かしたのでしょう。
大阪市場を巡る攻防と池田泉州の苦悩
一方で、激戦区である大阪に地盤を置く銀行は、厳しい現実に直面しています。和歌山を本拠とする紀陽銀行は、2018年4月に新設した大阪法人営業室を武器に、大阪府内での貸出残高を2019年9月末時点で1兆5516億円まで積み上げました。これは前年比で4%の増加であり、攻めの姿勢が功を奏しています。対照的に、地元勢である池田泉州ホールディングスの株価は約30%も下落しました。2020年3月期の純利益が大幅減益となる見通しが、重くのしかかっています。
池田泉州は2019年11月に自社株買いの検討などを発表しましたが、市場からは「改革の踏み込みが甘い」と厳しい評価を下されています。SNS上でも「地銀のビジネスモデル自体が限界ではないか」という不安の声が散見されます。私個人の見解としても、単なる株主還元策だけでなく、南都銀行のような「組織のあり方そのものを変える覚悟」がなければ、投資家の信頼を取り戻すのは容易ではないと感じます。守りではなく、変化を恐れない姿勢が問われているのです。
異業種イオン銀行の襲来と2020年の展望
さらに追い打ちをかけるように、新たな強敵が姿を現しました。2019年12月24日、流通大手のイオン銀行が関西初となる路面店を大阪・梅田にオープンさせたのです。同行の新井直弘社長は、資産形成層である若者の取り込みに自信を見せています。これは店舗網(ネットワーク)の維持に苦しむ既存地銀にとって、将来の優良顧客を奪われかねない深刻な事態です。利便性とブランド力を兼ね備えた異業種の参入は、金融業界の垣根を完全に崩しつつあります。
低金利政策が続き、本業の儲けを示す「資金利益」が伸び悩む中で、2020年はさらに過酷な収益環境が予想されるでしょう。南都銀行の改革が実際の利益に結びつくのか、あるいは池田泉州が逆転の一手を打てるのか、正念場を迎えています。専門用語で言えば、銀行が貸出や投資で得た利回りと、預金金利などのコストの差である「利ざや」をどう確保するかが課題です。関西の地銀再編は、これからが本当のクライマックスとなるに違いありません。
コメント