米国株が史上最高値へ挑戦!中東緊迫から急反転した株式市場の行方と今後の注目ポイント

緊迫化していた中東情勢への懸念が急速に和らぎ、米株式市場は活気を取り戻しています。イランがイラクの米軍基地を攻撃したことで一時はダウ平均先物が400ドル以上も急落しましたが、この警戒感はわずか1日足らずで収束へと向かいました。SNS上でも「全面戦争の回避でひと安心」「市場の回復力が凄まじい」といった安堵の声が相次いでいます。緊迫した局面に冷静さを保った市場の関心は、すでにアメリカ経済の力強さへとシフトしている状況です。

緊張緩和の大きな引き金となったのは、イランのザリフ外相によるSNSへの投稿でした。今回の報復攻撃を自衛のための相応の行動と位置づけ、これ以上の戦争は望まない意向を表明したのです。また、トランプ大統領も2020年1月8日の演説でイランへの追加制裁は発表したものの、新たな軍事報復には踏み込みませんでした。大統領はアメリカ側に犠牲者が出ていないことを強調し、圧倒的な軍事力についても行使ではなく抑止にとどめたい本音をのぞかせています。

こうした両国の姿勢から、市場では武力衝突が泥沼化するリスクは低いとの見方が大勢を占めました。トランプ大統領にとっても、2020年11月に控える大統領選挙を前に世論の支持を失うような大規模戦闘は避けたい思惑があるのでしょう。ニューヨークの原油先物価格も1バレル59.61ドルとおよそ5%下落し、事態の悪化前にまで値を下げています。投資家の間では、今回の事案がこれ以上株価を引き下げる決定的な要因にはならないと判断されたようです。

一連の報道を受けてダウ平均株価は上昇に転じ、前日比161ドル高の2万8745ドルで取引を終え、最高値に肉薄しています。市場の関心は再び、潤沢な資金供給によってもたらされる良好な投資環境へと戻ってきました。ここで注目したいのが、2020年1月10日に発表を控える2019年12月分の米雇用統計です。これはアメリカの労働市場の健康状態を測る最重要データであり、事前の民間調査でも雇用者数が予想を上回る好調な伸びを記録しています。

現在の状況は、景気が過熱も冷え込みもしない「適温経済(ゴルディロックス経済)」の条件が見事に整っているといえます。適度な経済成長と低金利が共存しているため、余った投資資金が株式市場へ流れ込みやすい理想的な地合いです。ただし、現在の株価が企業の稼ぐ力に対して割高かどうかを示す指標である「PER(株価収益率)」は18倍を超えており、やや警戒水準にあります。中東リスクを通過した今、本当の試練はこれから始まる企業決算になるでしょう。

筆者の視点として、今回の市場の反応は現代のマネーフローの強さを如実に物語っていると感じます。地政学リスクによる一時的なショックは絶好の買い場と捉えられやすく、今回もそのセオリー通りの動きとなりました。しかし、実体経済や企業業績の裏付けがない株高はどこかで息切れを迎えるものです。2020年を通じて企業が力強い成長シナリオを描けるかどうかが、今後の持続的な株高を占う真の試金石になるに違いありません。

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