半導体業界の未来を占う最新の決算が大きな注目を集めています。精密加工装置の大手として知られるディスコが、2020年1月23日に2020年3月期の連結業績予想を公表しました。発表によると、最終的な儲けを示す連結純利益は246億円に達する見込みです。今回は会計ルールの変更が重なったため、前の期と単純に比べることは難しいものの、実質的には利益が目減りする形となりました。しかし、その内実を紐解くと決して悲観的なものだけではないのです。
今回の減益の背景には、これまで業界を牽引してきたデータセンター向けの巨額投資が一区切りついたことが挙げられます。アメリカや韓国の主要な半導体メーカーが一時的に新しい投資を控えた結果、ディスコの今期の売上高は1353億円に留まる見通しとなりました。さらに、製品を発送した時点ではなく、納品先のチェックが完了した段階で売上を記録する「検品基準」へと変更したことも影響しています。この結果、前の期に比べて8%の減収という表面的な数字に繋がったのでしょう。
しかし、ここからが同社の真骨頂です。注目すべきは、半導体のもとになる円盤状の「シリコンウエハー」を削ったり切断したりする既存の工場が、フル稼働を続けているという点にあります。これに伴い、同社が強みを持つ「ブレード」と呼ばれる専用の替え刃など、定期的に交換が必要な消耗品の売れ行きが極めて好調に推移しています。本体装置が売れにくくても、現場が動く限り利益を生む盤石なビジネスモデルが、同社の底力を支えている印象を受けます。
さらに、2019年10月以降からは、超高速通信を可能にする「5G」対応スマートフォン向けの半導体需要が急拡大を始めました。この追い風を受け、同社の製品出荷額は2019年10〜12月期に前年同期比で4%のプラスへと見事に転換しています。SNS上でも「5Gの波が本格的に来ている証拠」「半導体セクターの復活は本物かもしれない」といった期待の声が続々と上がっており、投資家たちの目線も一気にポジティブな方向へと切り替わっている模様です。
この回復基調は一時的なものではなく、2020年1〜3月期には出荷額が前年同期比で2割増にまで跳ね上がる予測となっています。同日の記者会見で小沢伸一郎IR室長が「2020年4〜6月期も旺盛な引き合いが継続する」と強気の見通しを示したことも、市場の安心感を誘いました。なお、同時に発表された2019年4〜12月期の累計決算は、売上高が1022億円、純利益が193億円を確保しており、来期への確かな架け橋となっています。
ここからは私見ですが、今回の発表は目先の減益という言葉に惑わされてはならない典型例だと言えます。一時的な投資抑制や会計基準の変更という特殊要因を、5Gという巨大なトレンドと消耗品のストックビジネスが完全に相殺しつつあるからです。まさに次なる大相場への助走期間と捉えるのが自然ではないでしょうか。先端技術の進化に必要不可欠な技術を持つディスコの存在感は、今後さらに高まっていくに違いないと確信しています。
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