今、日本のビジネス界で「インハウスローヤー」と呼ばれる企業内弁護士の存在感が急激に高まっています。日本組織内弁護士協会の最新データによると、2019年6月時点で企業に所属する弁護士数は2418人に達しました。同協会が設立された2001年にはわずか66人だったことを考えると、驚異的な V字回復ならぬ急成長を遂げているのです。ここ5年だけでもその数は2倍に膨れ上がっており、企業が法律のプロを社内に囲い込む動きが加速している様子がうかがえます。
この異例とも言える急増ぶりに対して、SNSなどインターネット上でも大きな反響が巻き起こっています。「法律事務所だけでなく、企業でキャリアを築く働き方は魅力的」「攻めのビジネスを展開する上で、社内にすぐ相談できる弁護士がいるのは心強い」といった、前向きな意見が数多く投稿されていました。かつては資格を取得したら法律事務所へ所属するのが王道でしたが、今や民間企業という選択肢が、弁護士たちの間で非常に有力なキャリアパスとして定着しつつあるのでしょう。
訴訟対応から経営戦略のパートナーへ!多様化する業務内容
これほどまでに企業内弁護士が求められる背景には、企業が直面する課題の複雑化があります。かつて彼らの主な任務は、裁判沙汰になった際の「訴訟対応」という後ろ向きの防衛策が中心でした。しかし最近では、M&A(企業の合併・買収)の初期段階からプロジェクトに参画し、潜在的な法的リスクを緻密に分析する「攻めの法務」へと役割がシフトしています。経営戦略の舵取りを左右する重要なパートナーとして、その手腕が期待されているのです。
さらに、近年のビジネストレンドもこの流れを後押ししています。例えば、上場企業が守るべきガイドラインである「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」への対応や、全社的な「働き方改革」に伴う人事労務制度の再設計など、クリアすべき法的な課題は山積みです。企業統治の透明性を確保しつつ、健全な労働環境を構築するためには、法律の高度な専門知識が欠かせません。こうした業務の多様化が、採用の呼び水となっています。
IT企業や大手金融が競うように採用!若手から即戦力へとシフト
業種別に見ると、特に変化の激しいIT関連企業での積極的な採用姿勢が際立っています。LINEとの経営統合やZOZOの買収など、大型の組織再編を次々と仕掛けるZホールディングス(旧ヤフー)には、すでに34人もの企業内弁護士が在籍しています。この10年間でその人数を9倍近くにまで増やしており、激動の市場を勝ち抜くためのインフラとして機能しているようです。他にも野村証券が25人、三菱商事が24人と、金融や商社が上位を占めています。
一方、供給側である弁護士業界にも変化が起きています。司法制度改革の影響により、2000年に1万7126人だった弁護士数は、2019年には4万1118人と2倍以上に増加しました。市場の競争が激しくなる中で、企業側もこれまでは若手の育成枠としての採用が目立ちましたが、現在はキャリア10年以上のベテランを即戦力として迎える傾向を強めています。経験豊富な実力者が企業へ流動することは、日本の産業界のガバナンスを底上げする素晴らしいトレンドだと私は確信しています。
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