中東情勢の緊張緩和や米中貿易摩擦の沈静化により、日経平均株価は2019年末よりも高い水準を維持しています。市場にはひとまず安心感が広がっていますが、水面下では非常に危機的なシナリオが進行しているのです。なんと、日本の株式市場全体が、アメリカのハイテク大手5社だけで構成される時価総額に追い抜かれる可能性が浮上しています。
その5社とは、アップル、マイクロソフト、アルファベット(グーグルの親会社)、アマゾン・ドット・コム、フェイスブックです。2012年末時点で、これら5社の合計時価総額は日本株全体の32%に過ぎませんでした。しかし、猛烈な勢いで成長を遂げた結果、2019年末には約80%にまで肉薄しており、2020年末にも日本を逆転する勢いを見せています。
SNS上でもこの事態に対して、「日本企業の地盤沈下がこれほど進んでいるとはショック」「旧態依然とした経営のツケが回ってきた」といった、危機感を募らせる声が数多く上がっています。実は2019年12月、韓国の総合株価指数(KOSPI)に上場する約800社の時価総額が、アップル1社に抜かれるという事件が起き、現地メディアは「KOSPIの屈辱」と報じました。決して他人事ではありません。
日本株低迷の元凶か?投資家が重視する「ROE」の誤算
米大手証券のモルガン・スタンレーは、日本企業の「ROE」が改善し、2025年には世界水準に追いつくという予測のもとで日本株を強く推奨していました。ここで言うROE(自己資本利益率)とは、株主が出資したお金を使って、企業がどれだけ効率的に利益を上げたかを示す指標です。この数値が高いほど、投資効率の良い魅力的な企業だと判断されます。
しかし、現実には日本企業のROEは2018年の9%から2019年には8%へと低下してしまいました。株価が順調に伸びた企業とそうでない企業の明暗を分けたのは、まさにこの指標の差です。世界的な景気減速や政情不安によって海外企業の買収(M&A)チャンスが減る今、経営陣にはこれまで以上に、自社株買いなどを交えた自前の資本管理と利益拡大の決断が求められています。
現在の日本企業において最も懸念されるのは、過去の不祥事などを理由に、外国人経営者や強いリーダーシップを持つカリスマ経営者を過剰に敬遠する風潮です。日本の主要企業における外国人取締役の割合はわずか3%にとどまっており、国際競争を勝ち抜くための多様性が圧倒的に不足しています。昭和の遺物である「全員一致の合議制」では、変化の激しい現代を生き残れません。
編集部としては、日本企業が守りの姿勢に入り、無難な経営に終始している現状に強い危機感を抱きます。統治体制の強化は当然必要ですが、それによって経営者が萎縮してしまっては本末転倒です。投資家に未来の夢を提示できるタフな指導者が現れ、市場の期待に応える的確な改革を実行しなければ、日本市場は近い将来、本当に深い屈辱を味わうことになるでしょう。
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