ホンダ・トヨタが直面する中国サプライチェーンの危機!新型肺炎による武漢工場再開延期がもたらす自動車業界への深刻な影響とは?

世界中を震撼させている新型コロナウイルスの感染拡大は、ついに巨大なモノづくり大国の足元を大きく揺るがし始めました。本田技研工業(ホンダ)は2020年2月6日、中国湖北省武漢市にある乗用車工場の稼働再開時期を、当初予定していた2020年2月14日からさらに延期する方針を固めました。状況次第では、最短でも2020年2月下旬までずれ込む見通しとなっています。

この異例の事態に対して、SNS上では「シビックやCR-Vの納期がかなり遅れるのではないか」「日本の基幹産業がこれほど中国に依存していたとは驚きだ」といった、愛車への影響を心配する声やサプライチェーンの脆弱性を懸念する意見が相次いでいます。日系自動車メーカーの中で、これほど長期の生産停止を決定したのはホンダが初めてのケースであり、業界内に走った衝撃の大きさがうかがえるでしょう。

ここで注目されるのが「サプライチェーン」という言葉です。これは、原材料の調達から製造、在庫管理、そして最終的に消費者の元へ商品が届くまでの「供給の連鎖」を指す専門用語になります。現代の製造業はこのネットワークが世界規模で複雑に張り巡らされているため、どこか一つの拠点がストップするだけで、世界中の製品供給がドミノ倒しのように止まってしまう危険性を秘めているのです。

武漢工場は年間60万台もの生産能力を誇り、ホンダが中国国内で生産する車両の約半分を占める極めて重要な拠点に他なりません。2019年の中国における新車販売台数は約155万台と過去最高を記録しており、同社の業績を力強く支えていただけに、今回の操業停止の長期化による業績の下振れは避けられない情勢です。

さらに、この波紋はホンダだけに留まりません。トヨタ自動車も中国国内にある4つの工場の稼働を早ければ2020年2月10日に再開させる目指しで動いていましたが、現在は再延期を含めた慎重な検討を重ねています。2020年1月29日時点では「2020年2月9日まで停止」と発表していたものの、感染拡大の収束が見えない中、現地合弁会社とともに苦渋の決断を迫られている状況です。

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自動車業界からエレクトロニクス分野へ広がる世界的な供給網の麻痺

日本貿易振興機構(ジェトロ)のデータによると、2018年に中国から日本へ輸入された自動車部品の総額は約3470億円にのぼり、これは日本国内に輸入される部品全体の約3割という圧倒的な存在感を示しています。例えば、いすゞ自動車が輸入するターボチャージャー(排気ガスを利用してエンジンに空気を送り込み出力を高める過給機)の一部部品も武漢で生産されており、他地域からの代替調達などの対策を急いでいます。

こうした物流や通関の滞りは、日本国内での完成車生産の遅れに直結しかねず、危機感は欧米の自動車メーカーにも一気に波及しました。イギリスの経済紙によると、欧米のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の幹部が、中国からの部品調達難を理由に欧州工場の一部生産停止の可能性を示唆するなど、世界規模での警戒態勢が強まっています。

また、影響は自動車の枠を超え、素材メーカーやエレクトロニクス分野へも拡大中です。藤倉コンポジットは2020年2月6日、自動車部品用ゴム製品を製造する浙江省の現地法人2社の操業開始を2020年2月10日から2020年2月17日へ延期すると発表しました。浙江省が市外に出た人の戻りを禁止する通達を出したため、従業員の出勤自体が極めて困難になっている背景があります。

スマートフォン市場への影響も深刻であり、米アップルのiPhoneなどを一手に引き受ける台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は、休暇明けからの稼働率を最低でも50%に戻したい意向ですが、春節で帰省した労働者が戻れず、人員不足から生産再開のペースが大きく鈍る恐れが出てきました。

このように一部の地域に生産拠点を過度に集中させる「一極集中」の構造は、平時には高いコストパフォーマンスを生み出すものの、今回のような予期せぬパンデミック(感染症の世界的大流行)が発生した際には、あまりにも甚大なリスクへと変貌してしまいます。目先の利益だけでなく、いかにリスクを分散させて持続可能な供給体制を築くか、今まさにグローバル企業の真価が問われていると言えるでしょう。

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