日本のエネルギー投資市場が、今まさに大きなターニングポイントを迎えています。原油をはじめとする石油関連の国内先物取引市場から、大手事業者が相次いで撤退を決めていることが明らかになりました。撤退を表明したのは、ネット証券大手の楽天証券や総合商社の双日、さらにはJXTGホールディングスや太陽石油、東京ガスといった日本のインフラを支える主要企業です。この衝撃的なニュースに対し、SNSでは「国内市場の地盤沈下が心配」「円建てでヘッジできる貴重な場所なのに」といった、将来を不安視する声が多数上がっています。
今回の大量撤退の背景には、2020年7月に誕生を予定している「総合取引所」の仕組みが深く関係しています。総合取引所とは、これまで証券(株など)と商品(原油や農産物など)でバラバラだった取引場所を一つにまとめ、投資家が効率よく売買できるようにする画期的な試みです。しかし、本来なら目玉となるはずだった原油先物が、この統合から外れてしまうことになりました。この決定が、市場の活性化に大きな暗雲を垂れ込める結果となっているのです。
二重規制がもたらす高いハードルと企業の苦渋の決断
なぜ原油先物は統合されなかったのでしょうか。その原因は、官庁間の複雑な管轄争いにあります。2019年11月29日に東京商品取引所が日本取引所グループ(JPX)の完全子会社となり、貴金属や農産物は金融庁の管轄する「金融商品取引法」のもとへ移管されることになりました。その一方で、原油などの石油関連先物だけは経済産業省の管轄である「商品先物取引法」の枠組みに取り残されてしまったのです。その結果、市場に参加する企業には、二つの異なる法律や規制に対応しなければならない「二重規制」という重い負担がのしかかります。
この手続きの煩雑さやシステムの維持コストは、企業にとって無視できない規模です。楽天証券は2020年7月をもって原油先物取引の終了を決めており、双日もすでに取引資格を返上しました。原油先物のためだけに、多額のコストを払い続けるのは割に合わないという合理的な判断でしょう。SNS上でも「これでは撤退するのも無理はない」「お役所の縦割り行政が市場を潰している」といった、行政の対応に対する厳しい批判や呆れの声が目立っています。
市場の縮小がもたらす危機と、日本の投資環境への提言
市場からプレイヤーが減ると、売買の成立しやすさを示す「流動性」が低下し、さらに参加者が遠のくという悪循環に陥ります。日本国内に活発な先物市場があれば、日本の時間帯に為替リスクのない「円建て」で取引ができ、価格変動の損失を避ける「ヘッジ」を有利に行うことが可能です。しかし今回の撤退ドミノにより、日本の市場は海外の主要な取引所に比べてさらに見劣りするものになってしまう懸念が高まっています。
編集部としては、今回の事態は日本の金融・コモディティ市場の国際競争力を著しく損なう大問題であると考えています。規制の一本化やシステムの共通化を早期に実現できなければ、海外市場との差は開く一方でしょう。日本が世界に誇るエネルギー市場を維持するためにも、縦割り行政の弊害を打破し、民間企業が参加しやすいシンプルで魅力的な取引環境を急ピッチで再構築することが、今まさに求められているのではないでしょうか。
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