世界中を震撼させている新型コロナウイルスの感染拡大は、ついに経済の血流とも言える物流の現場に深刻な影を落とし始めました。中国政府が春節の連休を急きょ延長したことに加え、各地で激しい移動制限が敷かれたため、現地では税関職員の確保すらままならない異例の事態に陥っています。この影響で、中国国内の通関手続きには大幅な遅れが生じている模様です。
いわゆる「世界の工場」として地球規模の経済を支える中国の機能が麻痺すれば、世界中の企業が張り巡らせている「サプライチェーン」が完全に寸断される恐れがあります。ここで言うサプライチェーンとは、製品の原料調達から製造、そして消費者の元へ届くまでの全プロセスのつながりを指す専門用語です。これが滞ることで、私たちの生活にも直撃する危険性が高まっています。
現場の混乱はすでに現実のものとなっており、大手日系混載貨物事業者の報告によると、上海の航空税関は稼働しているものの、人員不足によって著しく作業効率が低下しているようです。さらに、旅客機の相次ぐ減便により、予定していた貨物を載せられない事態も頻発しています。大手物流会社の幹部からは、マスクなどの医療物資が最優先され、一般貨物の手続きが後回しになっているとの声も上がりました。
ネット上やSNSでも、この物流危機に対する不安が爆発しています。「楽しみにしていた海外通販の荷物が届かない」「春物の新作服が店頭から消えるのでは」といった個人ユーザーの悲鳴が目立ちます。また、ビジネスパーソンからは「部品調達が完全にストップしてしまい、自社のラインも止まりかねない」といった、今後の経済活動への長期的なダメージを懸念するシビアな声が数多く飛び交っている状況です。
こうした物流の停滞は、すでに日本の有名アパレル企業にも具体的な影響を及ぼし始めています。生産の4割強を中国に依存し、山東省などに約50の委託工場を持つレナウンは、2020年2月中旬から下旬にかけて店頭に並ぶ予定だった日本向けの一部商品に、配送の遅れが生じる可能性を認めました。一方でファーストリテイリングは現時点での影響を否定しつつも、事態の長期化を警戒しています。
実は中国が世界に誇る生産シェアは圧倒的で、スマートフォンの65%、テレビの40%を占めていると英調査会社が発表しています。このまま通関の遅れが長引けば、世界中の製造業や小売業が仕入れルートの根本的な見直しを迫られるのは確実でしょう。ただ、海運業界などからは「もともと2月は貨物が少ない時期。3月までに収束すれば致命傷には至らない」という楽観的な観測も一部で聞かれます。
編集部としては、今回の事態は単なる一時的な配送遅延として片付けるべきではないと一石を投じます。一国に依存しすぎた生産体制の脆弱性が、ウイルスの脅威によって完全に浮き彫りになったと言えるでしょう。今後は、コスト面だけでなくリスク分散の観点から、生産拠点を東南アジアなどへ分散させる「脱・中国」の流れが、あらゆる産業で一気に加速していくのではないかと予想されます。
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