EVは本当にエコなのか?ライフサイクルアセスメントが変える自動車業界の未来と投資の新常識

世界中で温暖化ガス排出への規制が加速する中、金融や産業の在り方が根本から見直されています。気候関連財務情報開示タスクフォース、通称「TCFD」の提言が浸透したことで、企業には気候変動がもたらすリスクの開示が求められるようになりました。この流れを受け、将来的に価値が失われる可能性のある「座礁資産」として、石炭鉱山の売却や石炭火力発電への融資撤退といった劇的な変化が起きているのです。

特に大きな変革期を迎えているのが自動車業界ではないでしょうか。欧州のメーカーは、走行中に二酸化炭素を排出しない電気自動車(EV)への移行を急ピッチで進めています。これに対し、日本のメーカーはバッテリーの走行距離といった実用面の課題を考慮し、エンジンと電気を組み合わせたプラグインハイブリッド車(PHV)を主軸に据える戦略を維持してきました。しかし、ここにきて「走行時」だけを見ない新しい評価基準が注目されています。

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製造から廃棄までを可視化するライフサイクルアセスメントの衝撃

その新たな指標とは、製品の原料調達から製造、使用、そして廃棄に至る全過程で環境負荷を算出する「ライフサイクルアセスメント(LCA)」です。たとえ走行中の排出がゼロでも、その車を動かす電力が石炭火力発電で作られていれば、地球全体での負荷は決して低くありません。SNS上でも「バッテリー製造時の排出量を考えれば、EV一択とは言えないのでは」という鋭い指摘が増えており、消費者の視点もより多角的になっています。

すでにIT大手のアップルは、自社製品の製造プロセスにおいて再生可能エネルギー100%を達成し、取引先にも同様の基準を求めるなど、LCAの考え方を先取りしています。これは単なる環境活動ではなく、サプライチェーン全体を巻き込んだ生存戦略と言えるでしょう。今後は自動車業界においても、工場で使う電力のクリーン化や、部品調達の透明性がこれまで以上に厳しく問われる時代に突入していくことが予想されます。

私個人としては、日本が強みを持つ「水素技術」こそが、LCAの壁を突破する鍵になると確信しています。再生可能エネルギーの導入拡大はもちろん不可欠ですが、エネルギー密度や安定供給の面で水素が果たす役割は極めて大きいはずです。2019年12月10日現在、世界は表面的なクリーンさではなく「真の環境貢献」を精査し始めています。この転換期を、日本企業が再び技術革新でリードすることを期待して止みません。

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