2020年台湾総統選が告示!蔡英文氏がリードを広げる背景に「香港問題」と「米中貿易摩擦」の意外な恩恵

2020年1月11日の投開票日に向け、2019年12月13日、台湾総統選が正式に告示されました。4年に一度、島全体が熱狂の渦に包まれるこのビッグイベントは、まさに台湾の未来を占う分水嶺となります。街中には候補者の巨大な広告があふれ、メディアも一色に染まる中、現職の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が、対抗馬である国民党の韓国瑜(ハン・グオユー)氏を大きく引き離す展開を見せています。

今回、蔡英文氏の追い風となっているのは、間違いなく隣接する香港の情勢でしょう。香港での大規模な抗議デモを目の当たりにした台湾の人々の間では、中国による統一への危機感を示す「亡国感(ワングオガン)」という言葉が急速に広まりました。「もし中国に飲み込まれれば、今の香港のような混乱が台湾にも訪れるのではないか」という切実な恐怖心が、中国と一線を画す蔡政権への支持をかつてないほど強固なものにしています。

ネット上でも「自由を守るために一票を投じよう」といった声が相次ぎ、SNSは若年層を中心に現政権を後押しする書き込みで溢れています。対する国民党の韓氏は、世論調査の不利を悟り、支持者へあえて「蔡英文を支持する」と嘘の回答を促す奇策に打って出ましたが、これが「調査の信頼性を損なう」と批判を浴びる結果となりました。主権を守るという強烈なメッセージが、今の台湾国民の心に深く刺さっているのは明白です。

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経済の逆風が「米中摩擦」で恵みの雨に

かつて蔡政権の泣き所と言われたのが経済政策でした。2016年の就任以来、特定の国に依存しない産業構造を目指してきましたが、当初は生活向上の実感が乏しく、2018年の統一地方選では大敗を喫しました。しかし、2019年12月14日現在の状況は一変しています。皮肉にも、激化する「米中貿易摩擦(アメリカと中国が互いに関税をかけ合う対立)」が、台湾経済に思わぬボーナスをもたらしているのです。

アメリカが中国製品への関税を引き上げたことで、通信機器などの調達先が中国から台湾へとシフトしました。さらに、中国に拠点を持っていた台湾企業がリスク回避のために一斉に国内へ戻る「工場回帰」が加速しています。この流れを受け、2019年1月から11月までの投資申請額は約7000億台湾ドル(約2兆5000億円)に達し、オフィスや工場の取引額も過去最高を記録するという、驚異的な活況を呈しています。

私は、この経済の好循環こそが、今回の選挙における最大の「番狂わせ」だと考えています。主権というアイデンティティを守りつつ、懸念されていた経済成長も数字で証明されたことは、中立層を取り込む上で決定的な要因となるでしょう。中国側は個人旅行の禁止などで揺さぶりをかけていますが、自由と経済的自立を両立させようとする蔡政権の勢いは、告示を迎えた今、止まる気配を見せていません。

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