日本人の平均寿命が着実に延び続ける現代において、老後の生活を支えるお金のあり方がかつてないほど注目を集めています。2019年に入り、いわゆる「2000万円不足問題」が世間を騒がせましたが、これはあくまで一つの指標に過ぎません。個々のライフスタイルや現役時代の働き方によって、準備すべき金額は大きく変動するからです。
金融庁の報告によれば、高齢の無職世帯では毎月約5万5000円が不足し、30年間で約2000万円が足りなくなると試算されています。しかし、生命保険文化センターが2019年9月に発表した調査では、ゆとりある生活には月36万円が必要との声もあり、その場合の不足額は5500万円にも達します。この現実に、SNS上でも将来への不安を訴える声が後を絶ちません。
資産寿命を延ばす鍵は「分散投資」と「定率引き出し」
こうした不安を解消する有力な手段が、運用によって資産を育てることです。初心者に最適なのは「投資信託」でしょう。これは、多くの投資家から集めた資金を運用のプロが世界中の株式や債券に分けて投資する仕組みです。特定の国や商品に絞らず広く分散させることで、価格変動のリスクを抑えながら着実な収益を目指すことが可能になります。
例えば、年率3%程度の利回りを目標とするなら、国内債券を中心にしつつ、先進国や新興国の資産を組み合わせるのが目安とされています。また、貯まった資産をどう使うかも重要です。毎月決まった額を引き出す「定額」ではなく、残高の4%といった具合に「定率」で引き出す手法が、資産を長持ちさせる戦略として非常に有効だと提唱されています。
運用成績が悪い時期には引き出し額も減るため、家計を調整する柔軟性は求められますが、資産が底をつくスピードを劇的に遅らせることができます。私は、この「定率引き出し」こそ、変動する市場と長く付き合うための知恵だと考えます。漫然と貯金を切り崩すのではなく、仕組み化された戦略を持つことで、精神的なゆとりも生まれるはずです。
一方で、2019年11月25日現在の状況を鑑みると、高齢になるほど判断力が低下するリスクも無視できません。75歳や80歳といった節目で複雑な運用を卒業し、シンプルな定額受け取りに切り替える「出口戦略」も検討すべきでしょう。いつ、どのように運用を終えるか。それを元気なうちに計画しておくことが、真の意味での安心に繋がるのです。
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