2020年2月2日現在、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が、中国経済のみならず世界経済全体を揺るがす事態となっています。ウイルスの拡散を食い止めるため、春節休暇が明けた後も企業に対して休業延長や出勤自粛を求める動きが加速しています。現時点で確認できる範囲だけでも、中国全土31の省・直轄市・自治区のうち、約8割にのぼる25もの地域でこうした措置がとられているのです。
多くの企業で2020年2月9日までの休業が通達されていますが、事態の収束が見通せない中、この再開時期がさらに後ろ倒しになる懸念も拭えません。かつてない規模で生産の手が止まることで、中国を起点とする世界のサプライチェーン、つまり部品の調達から製品の製造、物流に至る一連の供給網が目詰まりを起こす危機に瀕しています。
世界中の電子機器生産を襲う負の連鎖
中国は現在、「世界の工場」としての地位を確立しており、特にスマートフォンやパソコンといった電子機器の生産において圧倒的なシェアを誇ります。英調査会社のインフォーマによれば、世界のスマホ生産の約65%、パソコンの約45%が中国で担われているのです。日本や韓国、台湾などから輸入された半導体などの重要部品が中国で組み立てられ、世界中へ出荷される構造となっています。
この状況下で、製造業の集積地である浙江省や重慶市、さらには北京市や上海市といった大都市圏でも感染が広がり、生産活動にブレーキがかかっています。仮に主要な組み立て拠点が長期間停止すれば、アップルの新型iPhoneをはじめとする新製品の出荷に遅れが生じるリスクは極めて高いでしょう。SNS上でも「これほどの規模で中国の工場が止まれば、世界中で品不足が起きるのではないか」といった不安の声が多く上がっています。
また、自動車部品の供給についても深刻な影響が懸念されます。ジェトロ(日本貿易振興機構)のデータによると、2018年の中国からの自動車部品輸入額は約3470億円に達し、SARSが流行した2002年から2003年当時と比較すると、なんと10倍もの規模に膨れ上がっています。もはや中国の経済活動は日本国内の産業とも密接に結びついており、決して「対岸の火事」では済まされない状況にあると私は考えます。
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