中部企業の業績に明暗?2020年3月期決算の見通しと暖冬がもたらす想定外の試練

東海地方の経済を牽引する中部企業の2020年3月期決算において、製造業と非製造業の間で明暗が分かれる見通しとなりました。製造業の経常利益が前の期と比べて18%減少する見込みである一方、非製造業は5%増加と底堅さを維持しています。ここで言う「経常利益」とは、企業が本業を含めた通常の経営活動全体で稼ぎ出した、実力値とも言える利益のことです。一見すると非製造業の健闘が光る結果ですが、現場からは決して楽観視できない悲痛な声が漏れ聞こえてきます。

この堅調に見える数字の裏には、人手不足や消費税増税といった厳しい逆風に加え、記録的な「暖冬」という自然の脅威が大きく影を落としているのです。SNS上でも「確かに今冬はアウターがいらないほど暖かい」「スタッドレスタイヤの出番が全くない」といった、季節外れの陽気を実感する一般ユーザーの投稿が相次いでいました。生活者にとっては過ごしやすい気候であっても、季節需要に依存する多くの企業にとっては、深刻な消費の冷え込みに直結している模様です。

特に大きな影響を受けているのが、私たちのインフラを支えるエネルギー業界です。中部電力や東邦ガスは、暖冬による暖房需要の低迷から電力やガスの販売が伸び悩んでいます。両社ともに2020年3月期は最終的に増益を確保する見通しですが、これは過去の燃料高騰時に仕入れた費用を料金に反映させた、いわばタイムラグによる一時的な効果に過ぎません。この特殊な要因を除外すると、東邦ガスの2019年4月から12月までの実質的な業績は横ばいにとどまります。

さらに深刻なのは中部電力の状況で、同様の要因を除くと実質的にはマイナス成長に転じる見込みです。また、今冬の降雪量の少なさは、春先の水力発電にも深刻な打撃を与えるリスクを孕んでいます。中部電力の片岡明典副社長も、雪解け水の減少がダムの出水率、つまり発電に利用できる水量に悪影響を及ぼしかねないと懸念を表明しました。企業の努力だけではコントロールできない気候変動のリスクが、現代のビジネスにおいてどれほど甚大であるかが浮き彫りになっています。

暖冬の直撃を受けたのは、エネルギー業界だけではありません。スポーツ用品量販大手のアルペンでも、スキーウェアやスノーボードといったウィンタースポーツ関連商品の売り上げが激しく落ち込みました。ネット上でも「雪がなさすぎてスキー場がオープンしていない」「これでは冬物が売れるはずがない」と、同社を心配するファンの声が散見されます。経済が生き物である以上、こうした天候リスクへの迅速な方向転換や、多角的な商品展開の重要性を改めて痛感させられます。

こうした状況を踏まえると、企業の真の実力は「想定外の事態にどう適応するか」というレジリエンス(回復力)に懸かっていると言えるでしょう。単なる数字上の増益に惑わされず、その内実にあるリスク要因を冷静に分析することが、これからの時代には不可欠です。中部企業がこの厳しい季節を乗り越え、次なる成長への布石をどのように打っていくのか、今後の戦略に引き続き注目が集まります。

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