中国地方のデパート業界から、現在の厳しい流通情勢を物語る最新のデータが届きました。中国四国百貨店協会が2020年01月22日に発表したところによると、2019年12月における中国地方の百貨店売上高は、前年の同じ時期と比べて5.9%減の276億5300万円を記録したそうです。これで3ヶ月連続のマイナスとなり、関係者の間では落胆の声が広がっています。厳しい冬の寒さを乗り切るための年末商戦ですが、今回はいくつかの不運な条件が重なってしまったようです。
売上減少の大きな引き金となったのは、記録的な「暖冬」とカレンダーの「日並び」の悪さでした。冬物商戦の主役であるコートや厚手のセーターといった重衣料(防寒性の高いしっかりとした衣類)が、気温が高めに推移したことでまったく振るわなかったのです。さらに、お買い物客が増えるはずの土曜日や祝日が前年より減ってしまったことも、客足を遠のける原因になりました。SNS上でも「確かに今季はコートを着る機会が少ない」「週末の休みが少なくて買い物に行く時間が作れなかった」といった、生活者のリアルな実感が数多く呟かれています。
さらに、2019年10月に実施された消費増税に伴う「駆け込み需要の反動」も、いまだに尾を引いている店舗が見受けられます。増税前に高額な商品を買い控える動きの反動が、12月になっても完全に回復しきっていない実態が浮き彫りになりました。品目別のデータを細かく見ていくと、百貨店の稼ぎ頭である衣料品が8.0%減と大きく落ち込んでいます。その内訳は、婦人服・洋品が7.2%減、紳士服・洋品が7.7%減となっており、男女を問わずアパレル部門全体が苦戦を強いられた模様です。
トレンドの発信地として期待される化粧品も2.6%減、客単価の高い美術・宝飾・貴金属といった高級品も2.2%減と、いずれも一歩及びませんでした。これらのような普段の生活に必ずしも必須ではない嗜好品や贅沢品は、消費マインドが冷え込むと真っ先に影響を受けてしまうのが辛いところです。ネット上では「デパコスのカウンターに行く回数を減らした」「贅沢品はしばらく我慢する」といった、家計の紐を固く締める消費者の声が目立ち、現在の緊縮ムードを如実に反映しています。
しかし、すべてのニュースが暗いわけではなく、明るい兆しも垣間見えました。食料品全体の売上高は5.1%減となったものの、年末の風物詩であるおせち料理の販売は非常に好調だったようです。具体的には、岡山市にある岡山高島屋や、松江市の一畑百貨店などにおいて、おせちの売上高が前年を上回る健闘を見せました。これには、自宅で贅沢に新年を迎えようという「巣ごもり消費」の需要を、地元の名門百貨店がしっかりと捉えた結果だと言えるでしょう。
ここで、今回の発表に合わせて報告された2019年通期の年間売上高にも注目してみましょう。1年間の総売上高は前年比3.2%減の2427億6800万円となり、閉鎖された店舗の影響を考慮しない「店舗数調整後」のデータでは、なんと13年連続で前年を下回る結果となりました。インターネット通販の台頭やライフスタイルの多様化など、百貨店を取り巻く構造的な課題は、一朝一夕には解決しない根深いものであることが改めて浮き彫りになった格好です。
編集部としては、今回の結果は単なる天候やカレンダーの不運だけではなく、地方都市における購買力の変化を象徴していると感じます。ですが、おせち料理の好調ぶりに見られるように、特別な日の食事や地域の伝統行事に対して「百貨店ブランド」が持つ信頼感は、今でも非常に強力です。今後は単に服を売る場所から、地域密着型の食のイベントや体験型価値を提供する場へと、デパート側が大胆にシフトしていけるかどうかが、生き残りの大きな鍵を握るのではないでしょうか。
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