2019年11月06日に発表されたデータによると、2019年8月の国内主要10都市における百貨店売上高は、前年同月比で3.1%増加するという非常に力強い数字を記録しました。冷夏に悩まされた7月の停滞ムードを吹き飛ばすかのように、8月は一転して厳しい暑さが続いたことが、消費者の購買意欲を大きく刺激したようです。
今回の売上アップの最大の要因は、猛暑に伴う「夏物商品」の爆発的な売れ行きにあります。さらに2019年10月01日から実施される消費税率引き上げを目前に控え、いわゆる「駆け込み需要」が鮮明になったことも見逃せません。特に人生の節目を彩る結婚式用の宝飾品や礼服といった高額品が、都市部を中心に飛ぶように売れました。
都市部で加速する高額品シフトと「既存店ベース」の重要性
地域別の詳細を見てみると、東京都が4.7%増、大阪市が3.9%増、名古屋市が3.5%増と、大都市圏での成長が顕著になっています。ここで注目したいのが「既存店ベース」という考え方です。これは新しくオープンした店や閉店した店を除き、前年も営業していた店舗のみで比較する統計手法のことで、純粋な消費のトレンドを把握するのに役立ちます。
一方で、地域による「格差」も浮き彫りとなりました。四国地方が9.2%増と驚異的な伸びを見せた反面、九州地方は5.8%減、中国地方は5.1%減と苦戦を強いられています。SNS上では「増税前に時計を買った」「都会の百貨店はどこも混んでいる」といった景気の良い声が上がる一方で、地方店舗の苦境を心配する投稿も散見されました。
紳士服とサービスが好調、食料品は意外な苦戦か
商品カテゴリー別では、紳士服・洋品が7.1%増、サービス(旅行の予約や修理など)が9.4%増と、全体の数字を大きく押し上げました。これに対して、百貨店の花形ともいえる食料品は1.5%減、レストランなどの食堂喫茶も1.1%減と、前年を下回る結果となっています。手軽な中食や外食へのシフトが影響しているのかもしれません。
編集者の視点から申し上げますと、今回の好調は「天候」と「制度変更(増税)」という二つの大きな外部要因が重なった、一時的なボーナス局面といえるでしょう。特に10月の増税後には、その反動による買い控えが懸念されます。百貨店各社が提供する、単なるモノの販売を超えた「体験」や「サービス」の質が、今後の真の勝負所になるはずです。
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