神奈川県小田原市の海から、食卓を彩る驚きのニュースが飛び込んできました。小田原市漁業協同組合は2019年07月05日、廃棄されるはずだったキャベツをエサにして育てた画期的な養殖ウニを、全国に先駆けて初出荷したのです。SNS上では「キャベツを食べるウニの姿が可愛すぎる」「野菜で本当に美味しくなるの?」と、その意外な組み合わせに大きな注目が集まっています。
今回デビューを果たした「うにっキャ」という愛称のウニは、ただの養殖食材ではありません。実は、海中の海藻を食べ尽くしてしまう「磯焼け」という深刻な環境問題の解決を担う、救世主としての側面も持っています。磯焼けとは、海水温の上昇などの影響で海藻が死滅し、砂漠のようになってしまう現象を指し、これによって魚たちの住処や産卵場所が失われることが、今まさに大きな課題となっているのです。
本来、海藻を主食とするウニは、エサが枯渇した環境では身が痩せ細ってしまい、食用としての価値を失ってしまいます。そのため、これまでは漁業者から厄介者として駆除の対象にされてきました。しかし、神奈川県水産技術センターが数年前から進めてきた研究を背景に、若手漁師たちが立ち上がりました。彼らは捕獲したウニにキャベツやミカンの皮を約3カ月間与え続け、見事に丸々と太らせることに成功したのです。
「育てる漁業」が切り拓く海の未来と驚きの味わい
気になるそのお味ですが、試食した鮮魚の仲買人やプロの担当者からは、天然もの以上に甘みが強く、雑味のない優しい美味しさであると絶賛の声が上がっています。2019年07月06日現在、地元のスーパーや飲食店では1個400円前後で提供されており、新たなご当地グルメとして確かな手応えを感じさせます。初出荷の数は400個と希少ですが、来年には5倍近い増産も計画されているようです。
今回の取り組みについて、小田原市漁協の高橋征人組合長は、単に収入を増やすだけでなく、自然の恵みを搾取するだけの漁業から、自らの手で資源を育む「意識改革」に繋がると力説しています。未利用の資源を有効活用し、環境を守りながら高品質な食材を生み出すこのモデルは、まさに現代の持続可能な産業のあり方を象徴しているのではないでしょうか。個人的にも、この「うにっキャ」が全国に広がることを願ってやみません。
ウニに野菜を与えるというユニークな発想は、今や日本全国に広がりを見せています。山口県ではトマト、東北や北海道ではクローバーや海藻の端材を与えるなど、各地の特色を活かした「ご当地ウニ」の研究が活発化している状況です。厄介者だったウニが、地域のプライドをかけた特産品へと生まれ変わる。そんな素敵な物語が、2019年の日本の海から力強く始まっています。
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