【2019年地銀の十字路】地方銀行の約6割が赤字に?生き残りの鍵を握る「スリム化」と「新リスク」の真実

2019年3月期の決算が示唆した、地域銀行の厳しい経営状況は、もはや目を背けられない「不都合な真実」として浮き彫りになりました。長らく、銀行の主軸である預金・貸出業務から得られる資金利益の低迷を、これまで何とかカバーしてきた要因が軒並み薄れ始めているのが現状でしょう。例えば、景気拡大の恩恵で抑制されていた信用コスト(不良債権の処理費用)が、再び増加傾向に転じたことが収益を圧迫しています。加えて、有価証券運用においても、外債投資で損失が発生し、株式の益出し(保有株式を売却して利益を確定すること)による収益の確保も難しくなってきています。

こうした状況がもたらす結果として、地域銀行の決算は、貸出業務をはじめとする本業の収益力の低迷を、ごまかしようもなくダイレクトに反映しています。日本銀行(日銀)が先日発表した金融システムリポートでは、衝撃的な試算が示されました。それは、このままでは10年後に地方銀行の約6割が最終赤字に陥る可能性があるというものです。

日銀が指摘するこの不穏な未来の主な原因は、地方の人口減少、高齢化の進行、そして地域経済の成長期待の低下といった、根深い構造問題に他なりません。さらに、日銀のマイナス金利政策に象徴される低金利環境が長期化していることも、地域銀行の収益を追い詰める大きな要因となっています。

スポンサーリンク

増える経営リスク:過剰なリスクテークの影

この極めて困難な環境を打破するため、地域銀行は新たな収益源を求めて、新分野への融資や積極的な資産運用に活路を見出そうと奮闘してきました。しかし、専門家として私は、その試みが過剰なリスクテークへの傾斜と紙一重になっているケースが少なくないと感じています。近い将来、これらのリスクが顕在化する可能性は決して軽視できません。

日銀リポートは、地域銀行が抱え始めている具体的なリスクとして、信用リスクが高いミドル企業への低利の貸し出し、過熱感のある不動産業向け融資、そして投資信託などへの積極的な運用などを名指しで指摘し、リスク管理の強化を強く呼びかけています。なぜなら、これらの業務や運用は、銀行の健全性を示す自己資本比率や、予期せぬ経済ショックに耐える力であるストレス耐性の低下に繋がりやすいと見られているからでしょう。

生き残りの道は「スリム化」と「効率化」

このように、地域銀行にとって**「不都合な真実」は、地方経済の構造的要因や金融仲介の収益性の低さに加えて、新分野・新業務に大きな潜在リスクが潜んでいるという点にもあるのです。私は、この厳しい現実を熟慮した結果、地域銀行の多くが、今後はリスクを伴う成長路線ではなく、むしろ経営の「スリム化」と抜本的な効率改善に、生き残り策の舵を切るべきだと考えます。

具体的には、地方の現実に適した店舗・ATM網の再配置を迅速に進める必要があります。また、収益力に見合った、無駄のない内部体制の構築も急務となるでしょう。地域に根差した金融機関である地域銀行が、健全な形でその機能を維持し続けることは、地方経済の安定にとって不可欠です。2019年6月4日時点のこの状況は、地域銀行が従来のビジネスモデルを大胆に見直し、新たな「生きる道」を選択する「十字路」**に立っていることを示していると言えるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました