香川県三豊市において、20年もの間静かに眠り続けてきた古い酒蔵が、地域の活気を取り戻す新たな観光拠点として生まれ変わります。この意欲的なプロジェクトを手掛けるのは、地元の経営者や農家など、業種の枠を超えて集まった5人の有志たちです。彼らは合同会社「三豊鶴」を設立し、かつての酒蔵の名を受け継ぎながら、2019年8月の開業を目指して着々と準備を進めています。歴史ある建物を舞台に、一体どのような新しい物語が紡がれるのでしょうか。
この拠点が位置するのは、瀬戸内国際芸術祭2019の秋会期で会場となる「粟島」への玄関口、須田港から徒歩1分という絶好のロケーションです。約1,000万円を投じて改修されるのは、かつて酒米を貯蔵していた広々とした蔵になります。ここでは、一升瓶を再利用した照明が幻想的に輝くモダンなレストランが誕生する予定です。8月には地元企業とタッグを組んだバーベキューが企画されており、訪れる人々に開放的な夏の思い出を提供してくれることでしょう。
2019年のゴールデンウイークに実施されたテスト営業では、三豊市出身のフランス料理シェフが腕を振るい、地元の新鮮な食材を活かしたメニューが提供されました。すると、わずかな期間で約1,500人もの人々が詰めかけ、SNS上でも「酒蔵の雰囲気が最高」「地元の野菜がこれほど美味しいとは」といった驚きと感動の声が広がっています。この反響は、地域の魅力を再発見したいと願う現代の旅行者のニーズを、見事に捉えた結果だといえます。
アートと食の融合がもたらす新しい旅の形
今回のプロジェクトを主導するのは、地域商社「瀬戸内うどんカンパニー」の北川智博社長や建材加工のプロである矢野太一社長らです。それぞれの専門知識、つまり「知見」を持ち寄ることで、単なる飲食店に留まらない多機能な空間作りを目指しています。彼らが重視するのは「食文化の継承」です。9月以降は、地域の歴史や伝統を背景に持った料理の提供が計画されており、訪れるだけで三豊の奥深い文化に触れることができるでしょう。
酒蔵の敷地内にある別の蔵では、瀬戸内国際芸術祭の来場者を意識したアート作品の展示も検討されています。さらに、最も大きな蔵では宿泊機能を持つゲストハウスの構想も練られており、滞在型観光の拠点としての期待が高まります。地域で生産された逸品が並ぶ「マルシェ」の開催も準備されており、農家と消費者が直接つながる温かな交流の場が、この古い酒蔵から広がっていくことは間違いありません。
瀬戸内国際芸術祭の会場となる粟島は、かつて海員養成学校があった歴史を持ち、現代美術家の日比野克彦氏によるプロジェクトなどで注目を集めています。しかし、島内には飲食店が少なく、観光客の受け皿不足が長年の課題となっていました。三豊鶴の誕生は、この問題を解消する鍵となるはずです。私は、地元の遺産を現代の感性でリノベーションするこの試みが、三豊をさらに輝かせる起爆剤になると確信しています。
三豊市には、鏡のような水面が美しい父母ヶ浜や、四季折々の絶景が楽しめる紫雲出山といった、世界中から注目されるスポットが点在しています。2019年7月10日現在、三豊鶴は年間1万人以上の集客を目標に掲げ、地域全体を盛り上げる準備を整えています。インバウンドを含む多くの人々が、この新しい拠点を通じて三豊の真の魅力に触れる日は、もうすぐそこまで来ています。皆さんも、ぜひ期待を寄せてみてください。
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