2019年07月12日、警察組織を揺るがす深刻な不祥事の全容が明らかになりました。昇任試験対策の問題集を無許可で執筆し、多額の報酬を得ていた警察官21人が一斉に処分されたのです。中でも、最も重い減給処分を受けた大阪府警の野田哲治警視正(58歳・辞職)の行動は、極めて悪質と言わざるを得ません。彼は自身の不正を隠蔽するため、出版社と組織的な口裏合わせを画策していたことが判明しました。
この不正が発覚したきっかけは、現代を象徴するSNS上のやり取りでした。2019年01月に17道府県警で兼業の疑いが浮上し、内部調査が開始された際、野田警視正は当初「原稿の執筆は親族が行ったことだ」と嘘の説明を繰り返していたのです。しかし、水面下で出版社に対して虚偽の口合わせを依頼したSNSの記録が証拠として残っており、警察の厳正な調査によって逃げ場を失った彼は、ついに自らの関与を認めるに至りました。
SNS上では、法を守るべき立場にある警察幹部が、証拠が残りやすいツールで隠蔽を図ったことに対し「危機管理意識の欠如に驚く」「身内に甘い組織体質が露呈した」といった厳しい声が相次いでいます。警察官としての誇りよりも、個人的な利益を優先し、さらに嘘を重ねて逃げ切ろうとした姿勢は、市民の信頼を根底から覆す裏切り行為と言えるでしょう。権力を持つ者が正義を失った時、その代償は計り知れないほど大きいのです。
報酬2000万円と内部資料の流出、問われる警察の倫理観
野田警視正と出版社の関係は深く、会社が設立された2009年頃から約10年間にわたり執筆を続けていました。驚くべきことに、2010年から2018年までに彼が手にした報酬額は約2000万円にものぼります。「兼業」とは、本来の公務員としての職務以外に営利目的の仕事をすることを指しますが、これは原則として法律で厳格に制限されています。公務員が特定の業者と癒着し、多額の金銭を受け取ることは、職務の公正さを著しく損なう危険性があるためです。
さらに今回の事件では、別の深刻な問題も浮き彫りとなりました。宮城県警から東北管区警察学校へ出向していた斉木弘悦警視正(56歳・辞職)が、研修資料などの内部文書10件を出販社に横流ししていたことが分かったのです。これらは「守秘義務」、つまり職務上知ることができた秘密を漏らしてはならないという法的義務の「秘密」には該当しないと判断されましたが、部内規定に違反する不適切な取り扱いであることは間違いありません。
事態を重く見た警察庁は2019年07月12日、全国の警察に対し、報酬の有無に関わらず原稿執筆や講演を行う際は必ず上司に届け出るよう、再発防止の指示を出しました。しかし、ルールを定めるだけで十分でしょうか。私は、個々の警察官が「公僕」としての高い倫理性を取り戻す教育こそが急務であると考えます。一度失った信頼を回復するには、透明性の高い組織へと生まれ変わる、血の滲むような努力が必要になるでしょう。
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