北陸の商圏に激震が走った撤退表明から数ヶ月、富山県高岡市の象徴ともいえる「大和高岡店」が、2019年08月25日の最終営業日に向けて異例の活況を呈しています。2019年07月18日に発表された最新の決算データによると、直近の3ヶ月間における売上高は前年を大きく上回る数字を記録しました。長年地域に愛されてきた場所がなくなることへの寂しさが、多くの人々を店頭へと向かわせているようです。
具体的な数字を見てみますと、2019年03月から2019年05月期までの売上高は、前年の同じ時期と比べて4.7%も増加した9億8300万円に達しました。4月に閉店が正式にアナウンスされて以降、駆け込み需要とも呼べる「閉店特需」が発生しています。これは、閉店を惜しむ顧客が最後にお買い物を楽しもうと集まる現象で、食料品から高額な衣料品に至るまで、あらゆるカテゴリーで売り上げが伸びる傾向にあります。
SNS上でもこのニュースは大きな話題となっており、「子供の頃から通った思い出の場所がなくなるのは本当に悲しい」「最後にお気に入りのブランドを買い溜めしてきた」といった、惜別の声が次々と投稿されています。単なる消費活動を超えて、一つの文化や記憶を胸に刻もうとするファンの熱量が、数字となって表れた形でしょう。改めて、地方百貨店が住民にとってどれほど大きな存在であったかが浮き彫りになっています。
しかし、運営会社全体を見渡すと、手放しで喜べない厳しい現実も垣間見えます。金沢市の香林坊店や富山市の富山店では、近年のアパレル不況の影響を色濃く受けており、衣料品の販売が苦戦を強いられている状況です。その結果、グループ全体の連結売上高は前年同期比で1.9%減少の108億円にとどまりました。高岡店の賑わいは、皮肉にも別れを惜しむ一時的な輝きという側面を否定できません。
私個人の見解としては、ネット通販が主流となる現代において、百貨店という「対面販売の聖地」が消えていくのは非常に心苦しいものがあると感じます。閉店特需という形で数字が跳ね上がるのは、それだけ多くの人がその場所に価値を感じていた証左に他なりません。2019年08月25日のフィナーレまで残りわずかですが、この熱気が少しでも長く地域経済に良い余韻を残してくれることを願ってやみません。
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