愛媛県の佐田岬半島に位置する伊方原子力発電所。その立地する伊方町と、半島根元の八幡浜市を合わせた一帯は、地元で**「八西(はっせい)」と呼ばれています。この八西地域の活性化を目指し、四国電力グループが立ち上がりました。伊方原発の1号機と2号機が廃炉となることで、地域経済の低迷が懸念されていますが、この不安を払拭するため、地場産品のブランド化と販路開拓を急ピッチで進めているのです。
その中心となるのが、四国電力のメンテナンス子会社である伊方サービス**(伊方町)が2019年4月に開設した通販サイト「四国のしっぽ」です。このサイトは、九州の大分県に向けて細長く伸びる佐田岬半島の形状を「四国のしっぽ」と表現し、八西のまだ知られていない魅力的な産品を全国へ発信するためのECサイト(電子商取引サイト)として始動しました。この取り組みは、単なる商品販売に留まらず、地域経済の基盤を固めるための重要な一歩だと私は考えています。
🏅世界的評価のマーマレードと即完売の地酒!「八西」産品の底力
「四国のしっぽ」が第一弾として売り出したのは、八幡浜市の川亀酒造とコラボレーションしたオリジナル銘柄の地酒「八西」です。純米大吟醸酒(720ミリリットルで税別3,000円)と特別純米酒(同1,300円)の2種類がラインナップされています。特に純米大吟醸は、フルーティーな香りと上品な旨味が特徴で、瀬戸内の白身魚など淡白な料理との相性が抜群だそうです。年間販売目標を1,200本と設定していましたが、発売後わずか1カ月で800本を出荷し、一時的に品切れとなるほどの熱狂的な反響を呼びました。
この予想を上回る売れ行きに、伊方サービスの担当者も「地酒を通じて、瀬戸内海で獲れるアジやサバなど、八西地域の美味しい食材にも興味を持ってもらいたい」と期待を膨らませています。当初は既存の地酒「川亀」をベースにしていましたが、今後は地元産の原料を使用した完全オリジナル銘柄の開発を目指すとのこと。この地域密着の姿勢こそが、商品のストーリー性を高め、消費者の心を掴む要因になっているのではないでしょうか。
また、2019年5月からは愛媛県産の旬の柑橘類を使ったマーマレード専門店「ニノズ・コンフィチュール」(伊方町)の商品も取り扱いを始めました。このお店の「ゆず&生姜(しょうが)」マーマレードは、2018年にイギリスで開催された「世界マーマレード・アワード」という、世界中から約3,000点の出品が集まる品評会で、なんと最高金賞を受賞しています。皮むきから瓶詰めまで全て手作業で行うという、丁寧でこだわり抜いた製法も人気の秘密でしょう。河内晩柑や甘平など、季節ごとに変わる多彩な商品展開も魅力的で、SNS上でも「最高金賞のマーマレードを食べてみたい」「お酒の『八西』も柑橘も美味しいなんて、この地域はなんてポテンシャルが高いんだ!」といった、八西地域の産品に対する関心が高まっている様子が伺えます。
✈️認知度向上とブランド化に向けた新たな挑戦
伊方サービスは、ただ通販サイトで商品を販売するだけでなく、八西地域の認知度向上と産品のブランド力強化にも力を入れています。その具体的な取り組みとして、四国への観光客の玄関口となるJR高松駅や高松空港などの土産物店で、八西産品の取り扱いを積極的に働きかけています。これは、オンラインだけでなく、オフラインでの接点を増やすことで、より多くの人々に八西の魅力を体験してもらうための賢明な戦略だと言えるでしょう。
原発の経済効果が減少する懸念に対し、地域固有の文化や資源を活かした産業を育てるこの試みは、地方創生の理想的なモデルケースだと私は強く感じています。一過性の補助金に頼るのではなく、本当に価値のある産品を掘り起こし、独自の地域ブランドとして確立していくことが、持続可能な地域経済を築くための唯一の道ではないでしょうか。この「四国のしっぽ」の取り組みが、全国の原発立地地域における地域活性化の希望の光となることを期待しています。
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