宮崎県都城市に拠点を置く、あの有名な焼酎「黒霧島」の製造元である霧島酒造の工場内で、昨年11月に発生した痛ましい労働災害事故のニュースが波紋を広げています。2019年6月4日、都城労働基準監督署は、この事故に関して労働安全衛生法違反の疑いで同社と現場主任の男性(37歳)を書類送検したことが明らかになりました。読者の皆さんもご存知の通り、霧島酒造は国民的な人気を誇るブランドですが、この報道は、企業規模に関わらず、労働安全衛生への配慮がいかに重要であるかを痛感させる事態と言えるでしょう。
この事故は、2018年11月21日に発生しました。派遣会社から勤務していた当時47歳の女性作業員が、焼酎の原料となるサツマイモを運搬するコンベヤーを清掃していた最中に、その右腕を機械に巻き込まれて切断するという、極めて重大なものでした。労働安全衛生法は、作業員の安全と健康を確保するための法律であり、企業には危険を回避するための措置を講じることが義務付けられています。しかし、今回の事故では、コンベヤーの運転を完全に停止させる、あるいは危険な稼働部分に覆い(ガード)を設置するなどの基本的な安全措置が怠られていた疑いが持たれているのです。
安全管理の盲点と専門用語の解説
ここで出てくる「書類送検」とは、警察や労働基準監督署といった捜査機関が、犯罪の疑いがある被疑者や法人に関する捜査書類や証拠品を検察官へ送付することを指します。逮捕を伴わないケースも多く、今回は労基署が「安全措置を怠った」という法令違反の疑いで手続きを進めた形になります。また「労働安全衛生法」は、労働現場での危険防止基準を確立し、働く人々の安全と健康を確保することを目的に制定されている法律です。特に、回転や稼働する機械の清掃や点検時には、動力源を遮断(ロックアウト)したり、危険箇所を物理的に隔離(ガード設置)したりすることが、労働災害(労災)を防ぐための鉄則とされています。
この報道を受けて、SNS上では多くの反響が寄せられています。特に目立つのは、「大手企業でも基本的な安全管理ができていないのは信じられない」「清掃中の機械を止めないなんて、現場の意識が低すぎる」「派遣社員という立場で、危険な作業を断りにくかったのではないか」といった、企業側の安全管理体制への厳しい批判と、被害女性への同情や心配の声です。霧島酒造は、品質の高い焼酎を世に送り出す優良企業というイメージが強いだけに、この労働災害のニュースは、読者の皆さんの心にも大きな衝撃を与えていることでしょう。
企業の責任は、単に良い製品を作ることだけではありません。その製品を生み出す「人」の安全を守ることは、企業の社会的責任(CSR)の根幹をなすものです。清掃作業中に機械が誤って作動したり、稼働部分に手が触れたりする危険性は、製造業の現場であれば誰もが予見できるはず。今回の事故は、作業手順の確立と、それを徹底するための教育、そして現場の危険性を常に評価し改善するリスクアセスメントが形骸化していた可能性を示唆しています。私たちは、この痛ましい事故を他山の石とせず、働くすべての人々の命と安全が守られる社会の実現を強く願うばかりです。
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