フリマアプリという新しい価値観を創出したメルカリから、驚くべきニュースが飛び込んできました。2019年6月13日、同社はシェアサイクルサービス「メルチャリ」からの事業撤退を発表したのです。2018年2月に福岡市でサービス提供を開始し、順調な滑り出しを見せていたとされる「メルチャリ」ですが、わずか1年半ほどで主要事業から外れることになりました。撤退の背景には、経営資源の配分を見直すという、メルカリの戦略的な決断があるようです。
「メルチャリ」は、スマートフォンアプリを通じて自転車をレンタルしたり、支払いを済ませたりできる、いわゆるシェアサイクルサービスです。駅前や街中に設置された「ポート」と呼ばれる貸し出し・返却拠点を活用し、手軽な移動手段として注目を集めていました。サービス自体は好調で、2019年5月末時点でポート数は209カ所、保有する自転車も1000台に上っていたにもかかわらず、今回の撤退決定は、多くのユーザーや関係者に衝撃を与えているでしょう。
メルカリがこの決断を下した理由として、「経営資源の配置を最適化するため」と説明しています。これは、限られた資金、人材、時間を最も成長が見込める事業に集中投下するという、企業経営において非常に重要な判断です。特に、この1年間でメルカリの事業戦略は大きな転換期を迎えており、以前はフリマアプリに次ぐ「種まき」として様々な新規事業に積極的に投資していましたが、今後は中核である日米のフリマアプリ事業と、成長著しい決済サービスに集中し、顧客の基盤をより強固なものにすることを最優先する方針に切り替えたのです。
この事業戦略の転換を象徴するのが、「メルチャリ」事業を統括していた連結子会社ソウゾウの解散です。ソウゾウは2015年9月に設立され、個人間のスキルシェアサービスや旅行サービスなど、多様な新規事業を展開してきましたが、これらも経営資源の再配置を理由に全て整理・閉鎖されてきました。同社は2018年6月期において売上高4億円に対し、最終損益が16億円の赤字を計上しており、新規事業への投資が先行し、収益化が課題となっていた状況が見て取れます。
「メルチャリ」事業は、2019年7月26日付で新設される連結孫会社neuet(ニュエ)に承継されることになります。そして、neuetはネット関連のコンサルティング会社であるクララオンラインを引受先とした第三者割当増資を実施し、その傘下に入ります。この増資総額は8000万円で、メルカリの出資比率は現在の100%から11.1%へと大幅に引き下げられることになるでしょう。これにより、メルカリは「メルチャリ」から経営的な主導権を手放し、フリマ・決済事業への集中体制を明確にしたといえるでしょう。
この一連の動きに対して、SNS上では多くの反響が寄せられています。特に、新規事業を生み出す役割を担ってきたソウゾウの解散は、メルカリが新規事業への挑戦から手を引くのではないかという懸念や、厳しい経営判断への驚きをもって受け止められています。一方で、本業であるフリマ事業とメルペイなどの決済サービスに注力することで、さらなる成長を期待する声も見受けられます。私の意見としては、選択と集中は企業が持続的な成長を遂げるために不可欠な戦略であり、フリマアプリで圧倒的な地位を築いたメルカリが、その強みを活かせる分野に経営資源を集中させるのは、極めて合理的で賢明な判断だと評価できます。
ユーザーからすれば、「メルチャリ」がなくなってしまうのは利便性が損なわれると感じられるかもしれません。しかし、新会社neuetのもとでサービス自体は継続される見込みです。また、メルカリがフィンテック、つまり「ファイナンス(金融)」と「テクノロジー(技術)」を組み合わせたサービスである決済サービスに注力することは、今後の生活に密着した新しいサービス体験をもたらしてくれる可能性を秘めています。この事業整理は、メルカリが次の成長フェーズへと進むための、避けて通れない大胆な一歩となるでしょう。
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