神奈川県相模原市に拠点を置く二光光学は、1960年1月1日の創立以来、光をコントロールする技術を磨き続けてきた職人集団です。創業当時はカメラ用レンズのコーティングを主軸としていましたが、時代の変化を敏感に察知し、2000年ごろからは高度な光学製品全般へと舵を切りました。現在は、旅客機の操縦席に欠かせない液晶ディスプレーのガラス加工が、同社を支える大きな柱へと成長を遂げているのです。
同社が世界に誇るのが「真空蒸着(しんくうじょうちゃく)」という特殊な加工技術でしょう。これは、真空中では物質の沸点が下がり、金属などの固体が低い温度でも蒸発しやすくなる性質を利用したものです。気体となった金属をガラスの表面に付着させることで、目に見えないほど薄く精密な膜を形成します。この技術により、光の反射を抑えたり、特定の波長だけを通したりといった高度な機能が付与されるのです。
欧州エアバス社の最新鋭機にも搭載!信頼の透明導電膜
大きな転機が訪れたのは、2004年ごろに始まった横河電機との取引でした。同社は航空機の操縦席用ディスプレーにおいて、表面ガラスの加工だけでなく、寒冷地での動作を保証するための「ヒーター機能」という難題に挑みます。これを解決したのが、電気を通しながらも光を透過させる「透明導電膜」の蒸着技術です。この画期的な技術は、SNS上でも「日本の町工場が世界の空を支えている」と驚きの声が広がりました。
こうした地道な技術革新が実を結び、現在では欧州エアバス社の最新鋭旅客機「A350」のディスプレーにも二光光学の技術が採用されています。高度数万メートルの過酷な環境下で、パイロットの視界を守り、計器を正しく作動させる役割を担っている事実は、日本のものづくりの質の高さを象徴しているのではないでしょうか。最近では、その評判を聞きつけた光学分野以外の企業からも、新たな発注が相次いで舞い込んでいます。
私は、二光光学のような企業こそが、日本の製造業の未来を照らす希望だと確信しています。単なる下請けに甘んじることなく、独自の技術を深化させて世界標準へと昇華させた姿勢は、全てのビジネスマンが学ぶべきモデルケースでしょう。カメラから航空機へとフィールドを広げた柔軟な発想力が、2019年7月24日現在の今、さらなる未知の産業との融合を予感させてやみません。
コメント