私たちの生活に欠かせない物流を支える段ボールですが、今その原料となる「段ボール古紙」の国内価格が著しい下落局面を迎えています。2019年07月26日現在の市場データによると、古紙問屋が回収業者から買い取る際の価格は1キログラムあたり6円から8円程度で推移しており、今月初旬と比較して中心値が約7%も下落しました。これは実に約6年ぶりの低水準であり、リサイクル業界には緊張が走っています。
この価格低迷の背景には、複数の深刻な要因が複雑に絡み合っています。まず大きな要因として挙げられるのが、世界最大の古紙輸出先である中国による環境規制の強化です。さらに、激化する米中貿易摩擦の影響で中国国内の景気が減速し、包装資材としての段ボール需要が目に見えて落ち込んでいます。これにより日本からの輸出量が大幅に減少し、国内で行き場を失った古紙が飽和状態に陥っているのが現状といえるでしょう。
国内に目を向けると、記録的な長雨という天候不順が追い打ちをかけています。通常であれば夏場は飲料や青果物の出荷が最盛期を迎えますが、2019年の長雨は消費を冷え込ませ、物流の停滞を招きました。その結果、製品を梱包する段ボールの需要が伸び悩み、製紙会社が抱える「段ボール原紙(古紙をリサイクルして作られる段ボールの材料となる紙)」の在庫は非常に高い水準で積み上がったまま解消されていません。
SNS上では今回のニュースに対し、「資源ゴミとして出しても価値がなくなるのでは」「リサイクル業者の経営が心配」といった、業界の先行きを不安視する声が数多く寄せられています。中には「これだけ安いのなら、梱包資材としての段ボール製品自体も安くなってほしい」といった消費者目線の切実な意見も見受けられ、古紙価格の下落が巡り巡って私たちの生活実感にまで波及し始めている様子が伺えます。
筆者の個人的な見解としては、今回の価格下落は単なる需給バランスの乱れ以上に、日本のリサイクル構造が抱える脆弱性を露呈させたものだと感じています。特定の輸出先に依存しすぎるモデルは、国際情勢一つで容易に崩壊してしまいます。今後は海外頼みの解消だけでなく、国内での新たな古紙活用方法の模索や、ITを活用した在庫最適化など、予測困難な事態に強い「レジリエンス(復元力)」のある仕組み作りが急務ではないでしょうか。
コメント