今、私たちの食卓でチーズの存在感がかつてないほど高まっています。農林水産省が2019年07月26日に発表した最新のまとめによると、2018年度の国内チーズ消費量は35万2930トンに達しました。これは前年度と比較して4.1%もの増加であり、なんと4年連続で過去最高を更新し続けているのです。お酒のおつまみや料理のトッピングといった枠を超え、チーズは今や国民的な人気食材としての地位を不動のものにしたと言えるでしょう。
この劇的な消費拡大の背景には、2019年02月01日に発効した「日欧EPA(経済連携協定)」が大きな影響を与えています。EPAとは、特定の国や地域との間で関税を撤廃したり、投資のルールを決めたりして、貿易をより活発にするための約束事です。この協定のおかげで、フランスやイタリアといった本場ヨーロッパから輸入される高品質なチーズが、これまでよりも手頃な価格で店頭に並ぶようになりました。こうした輸入コストの低下が、私たちの購買意欲を強く後押ししています。
さらに内訳を詳しく見ていくと、素材そのものの風味を楽しむ「ナチュラルチーズ」は、2018年度に前年度比3.7%増の21万367トンを記録しました。熟成具合によって刻々と変化する奥深い味わいが、こだわりを持つ消費者から熱烈な支持を得ているようです。一方で、加熱加工して保存性を高めた「プロセスチーズ」も、4.5%増の14万2563トンと大幅な伸びを見せています。保存が利き、手軽に食べられる利便性が、忙しい現代人のライフスタイルにぴったり合致した結果と言えるでしょう。
SNS上でもこの勢いは顕著で、飲食店が提供する「チーズが伸びる」メニュー、いわゆる「映える」料理の写真が連日のように投稿されています。ネット上では「EPAのおかげで高級なブルーチーズに挑戦しやすくなった」「スーパーの品揃えが明らかに豪華になった」といった喜びの声が溢れており、ブームは一過性のものではないと感じさせます。食の欧米化だけでなく、健康志向の高まりによるタンパク質摂取への関心も、この数字を支える重要な要因となっているはずです。
編集者の視点から見れば、今回の消費量拡大は単なる流行ではなく、日本人の食文化が新たなステージへ移行している証拠だと確信しています。関税の引き下げは始まったばかりであり、今後も欧州産チーズの流通量はさらに増えていくでしょう。これまでは一部の愛好家のものだった個性的なチーズが、より日常的な「家庭の味」へと浸透していくプロセスは、非常に興味深い現象です。私たちは今、チーズを軸とした豊かな食体験の変革期を目の当たりにしているのかもしれません。
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