2019年07月26日、企業のデジタル戦略を根本から変える画期的なプラットフォームが本格始動しました。米国のシステム開発企業であるYext(イエクスト)が提供を開始したのは、企業の店舗情報やサービス内容といった「公式な回答」を、検索サイトの結果にダイレクトに反映させる仕組みです。これにより、ネット上に漂う古いデータや誤った情報が拡散されるのを防ぐことが期待されています。
現代のインターネット環境では、企業が情報を更新していても、検索エンジンが他人の投稿した誤った内容や数年前の古い営業時間を拾ってしまうケースが少なくありません。せっかく店舗を訪れたお客様が「営業中のはずなのに閉まっていた」と落胆するような不幸な食い違いを、このプラットフォームは一掃しようとしています。常に最新の情報を届けることは、企業の信頼を守るための最優先事項と言えるでしょう。
SNS上では今回のニュースに対し、「営業時間がグーグルマップと公式サイトで違うことがよくあるから、一括管理できるのはありがたい」「音声検索でも正しい答えが返ってくるなら便利になる」といった、消費者・企業双方からのポジティブな反響が広がっています。利便性の向上だけでなく、デマ情報の抑制という社会的な意義にも注目が集まっており、情報の正確性が強く求められる時代背景が伺えます。
「検索」から「質問」へ。ナレッジグラフが導く次世代の回答体験
Yextのプレシデントであるブライアン・ディステルバーガー氏は、消費者の行動が単なる「キーワード検索」から、具体的な「質問」へと変化していると指摘します。例えば東京駅周辺でランチを探す際、以前は単語を羅列していましたが、現在は「今、近くで開いているお店は?」と尋ねるスタイルが主流です。大手検索サイトも、ウェブサイトのリストより、地図や回答そのものを上位に表示するようになっています。
こうした変化に対応するため、同社が構築するのが「ナレッジグラフ」という技術です。これは、場所、時間、メニュー、イベントといった多様な情報をバラバラに扱うのではなく、互いに関連性を持たせて整理するデータベースの構造を指します。この仕組みによって、AIが情報の文脈を理解できるようになり、より人間に近い自然な回答を導き出すことが可能になるのです。
この技術の凄みは、画面上の文字検索にとどまらず、AmazonのAIスピーカーやAppleの「Siri(シリ)」といった音声技術にも正確な答えを供給できる点にあります。声で尋ねるだけで、常にブランドの公式情報に基づいた正しい回答が得られる体験は、まさに未来の検索の形でしょう。2019年の秋には、各企業が自社の公式サイト内でも、こうした高度な質問型検索を導入できるよう準備が進んでいます。
私自身の見解としても、情報の「量」が溢れる現代において、最も重要なのは「真実性」だと感じます。これまでは情報の海からユーザーが正解を探し出す苦労がありましたが、Yextのような仕組みが普及すれば、情報の出し手である企業が責任を持って正解を提示できるようになります。これは、ネット上の混乱を鎮め、デジタル社会の健全性を高める大きな一歩になると確信しています。
世界150以上のサービスと連携、訪日観光客の集客にも大きな一手
Yextのプラットフォームは、GoogleやFacebookなど世界中の主要なネットサービス150以上と強力に連携しています。一度情報を入力すれば、各プラットフォーム上のデータが瞬時に最新状態へ書き換わるため、管理の負担は劇的に軽減されるでしょう。日本法人の宇陀栄次会長は、英語や中国語などの多言語入力によって、海外サイトでも正しい情報を提供できるメリットを強調しています。
2018年に日本での事業を開始して以来、ヤマト運輸など約50社を支援してきた同社ですが、新たにJTBなどとのパートナー契約も締結されました。今後は大規模な企業だけでなく、中小規模の旅館や飲食店にもこの輪を広げていく方針です。正しい情報を世界に発信することは、急増する訪日外国人の満足度を高め、インバウンド需要を確実に取り込むための鍵となるはずです。
情報が錯綜しやすい時代だからこそ、企業自らが「正しい答え」をコントロールする重要性はかつてないほど高まっています。2006年の創業以来、2017年にはニューヨーク証券取引所への上場を果たし、着実に実績を積み上げてきたYext。同社が提供する「ナレッジグラフ」という知恵の体系が、私たちの日常生活をより正確でストレスのないものへと変えていく未来が、すぐそこまで来ています。
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