2019年07月27日、日本の地域金融界に激震が走っています。かつて「独自路線の旗手」と称賛された西武信用金庫やスルガ銀行が、今、不動産融資への過度な傾倒による不適切融資問題で、その存立基盤を大きく揺らしています。低金利時代が長く続き、本業の貸出収益が低迷する中で、彼らが活路を求めたのが、利回りの高い不動産投資への資金供給でした。しかし、その甘い蜜の代償は、あまりにも重くのしかかっています。
西武信用金庫の高橋一朗理事長は、不適切な融資を招いた最大の原因として、不動産融資に頼りすぎてしまった組織の歪みを深く反省している様子です。かつては地域密着型の支援で知られた同信金ですが、いつしか収益至上主義に染まり、現場では目標達成への強い圧力が働いていました。このように地域経済の活性化を後回しにして、目先の数字を追い求めた結果、法令遵守や審査の厳格さが失われてしまった現実は、金融機関として極めて深刻な事態と言えるでしょう。
シェアハウス問題に揺れるスルガ銀行と「忖度」の連鎖
同様の病理は、静岡県に拠点を置くスルガ銀行でも顕著に現れました。特に「かぼちゃの馬車」で知られるシェアハウス融資においては、預金通帳の改ざんといった不正が横行し、多くの個人投資家を苦境に陥れています。ここでいう「不適切融資」とは、本来なら審査に通らないような属性の借り手に対し、書類の偽造を黙認、あるいは助長してまで資金を貸し出す行為を指します。健全な金融秩序を揺るがすこの行為は、まさに銀行の自殺行為に他なりません。
SNS上では「トップが絶対的な権力を持つ組織では、現場は何も言えなくなる」といった批判的な声が噴出しています。上意下達の企業文化が、不正を見逃す土壌を作り上げてしまったという指摘は、現代の組織運営における重要な示唆を含んでいるはずです。経営陣の強力なリーダーシップは、成功している間は推進力となりますが、一度方向を誤れば、ブレーキの効かない暴走列車へと変貌してしまいます。今の彼らに必要なのは、忖度を許さない透明性の高いガバナンスの構築です。
私は、今回の問題の本質は「金融のプロとしての誇りの喪失」にあると考えています。地域金融機関の真の使命は、地元の事業者を支え、共に成長することにありますが、いつしかリスクの高い不動産案件で帳尻を合わせる安易な経営に陥ってしまいました。高橋理事長が掲げる「原点回帰」という言葉が、単なるスローガンに終わらないことを願わずにはいられません。信頼回復への道のりは険しいものですが、誠実な対話と抜本的な組織改革こそが、再起への唯一の切符となるでしょう。
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