2019年6月10日に迫る、トランプ米政権によるメキシコからの全輸入品に対する追加関税の発動。この危機を回避するため、メキシコ政府がグアテマラ国境への6000人規模の治安部隊派遣という、極めて大胆な提案を行ったことが明らかになりました。これは、メキシコ経由でアメリカを目指す中米からの不法移民の流れを強力に抑制し、関税措置を避けるための切実な一手であるといえるでしょう。
メキシコのエブラルド外相が示したこの提案は、アメリカの首都ワシントンD.C.で2019年6月6日に開かれた米墨両政府による2日間にわたる協議の場で提示されました。ペンス米副大統領は同日、このメキシコ側の不法移民対策案に対し、「いくつかの進展があった。前向きだ」と前向きな評価を示しています。ただし、この提案が関税発動の撤回に足るかどうかは、最終的にトランプ大統領が判断する問題であると釘を刺した形です。
メキシコが派遣を提案したのは、ロペスオブラドール政権のもとで治安対策を担うために新たに創設された国家警備隊です。これは軍や警察などを統合して構成された組織で、治安維持と国境警備を強化する準軍事的な役割を持っています。現在、グアテマラとの国境付近では警察や移民当局のパトロールが実施されていますが、その規模や実効性が不十分であると指摘されており、中米諸国からの不法な流入を阻止する上で、この大規模な国家警備隊の配置は不可欠であるとの判断が働いたようです。
アメリカのトランプ政権は2019年5月30日、メキシコの移民対策の不備を理由に、同国からのすべての輸入品に対し、6月10日から5%の追加関税を課し、最大で25%まで引き上げると宣言しています。メキシコ側には、アメリカを目指す中米移民の移動を抑制するよう、強い要求が突き付けられている状態です。アメリカからすると、メキシコが地理的緩衝地帯としての役割を十分果たせていないという不満があるのでしょう。この追加関税は、メキシコの経済にとって甚大な打撃となることが予想され、政府として何としてでも避けたい事態です。
メキシコ政府も、ただ手をこまねいていたわけではありません。協議の直前となる2019年6月5日には、グアテマラと接する南東部のチアパス州で、約500人規模の中米からの移民集団を拘束しました。さらに翌日の6日には、移民の人身売買に関与したと見られる複数の個人および法人の銀行口座を凍結するなど、具体的な対策を講じています。これらの動きは、アメリカに対し、メキシコが本気で対策に乗り出しているというメッセージを送る意図があると考えられます。
両政府の協議では、不法に入国してアメリカ国内での保護申請手続きを求めるグアテマラなどからの移民を、メキシコを含む第三国で待機させる案についても話し合われた模様です。これは、いわゆる**「第三国待機」と呼ばれる措置で、亡命申請者を国境の外で待機させることで、アメリカ国内での手続きの負担を軽減し、不法入国へのインセンティブを減らすことを狙った提案であると推測されます。この動きは、メキシコが移民問題において、さらに重い責任を負う可能性があることを示唆していると言えるでしょう。
この一連の報道に対し、SNSでは非常に大きな反響が巻き起こっています。多くのユーザーは「経済制裁を人質のようにつかってまで移民対策を迫るアメリカのやり方は強硬すぎる**」「メキシコは国家の主権を守りながらどう対応するのか」といった、アメリカの姿勢に対する批判的な意見を投稿しています。一方で、「メキシコの国境警備は確かに甘かった」「関税で経済が落ち込むよりはマシな選択かもしれない」と、メキシコ政府の苦渋の決断に理解を示す声も目立っています。
編集者としての私見ですが、アメリカの追加関税という**「力の論理」が、メキシコ政府にこれほどの大規模な治安部隊の動員という劇的な対応を取らせたことは、国際政治の厳しさを象徴しています。不法移民問題は、人道的な側面と国家安全保障の側面が複雑に絡み合う難題であり、経済制裁を回避するための防波堤としてメキシコが動かざるを得ない状況は、非常に皮肉的だと感じています。この一連の動きが、結果的に移民の人権や安全**を脅かすことのないよう、引き続き注目していく必要があるでしょう。

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