日本の基幹産業である自動車業界において、主要大手7社の2019年4月から6月期における決算内容が発表されました。今回の集計結果を紐解くと、全体の約7割にあたる5社が最終的な儲けを示す「純利益」で前年を下回る結果となっています。これまで成長の牽引役だった市場にブレーキがかかったことで、各社の収益構造に大きな変化が訪れているようです。
苦戦の背景にある大きな要因は、インドや中国をはじめとする新興国における景気の足踏みです。これらの地域では消費者の購買意欲が減退しており、新車販売が思うように伸びていません。これまで右肩上がりを続けてきた市場だけに、この減速感はメーカーにとって予想以上の痛手となっているのでしょう。SNS上でも「新興国頼みの戦略は限界か」といった、将来を不安視する声が散見されます。
さらに、為替相場の変動も逆風として重くのしかかりました。新興国の通貨価値が円に対して安くなる「新興国通貨安」が進んだことで、現地で稼いだ利益を日本円に換算した際に目減りしてしまったのです。このように自分たちの努力だけではコントロールできない外部環境の変化が、今回の決算における「減益」という数字に色濃く反映される形となりました。
しかし、すべての企業が沈んでいるわけではありません。トヨタ自動車とSUBARUの2社は、こうした厳しい状況下でも力強く「増益」を勝ち取っています。その勝因は、世界最大の自動車市場の一つである北米において、大型車やSUV(スポーツ用多目的車)の販売が極めて好調に推移したことにあります。稼ぎ頭の市場をしっかりと押さえることが、全体の底上げに繋がったといえます。
SUVとは、舗装されていない道でも走りやすく、荷物もたくさん積める実用的な車のスタイルを指します。アメリカでは現在、この力強く多機能な車が空前のブームとなっており、各社にとって最も利益を出しやすい商品です。SNSでは「やっぱりトヨタのSUVは格好いい」「スバルの安定感は海外でも強い」といった好意的な意見が多く、ブランド力の差がそのまま決算の明暗を分けた印象を受けます。
編集者の視点から見れば、今回の決算は「市場のポートフォリオ(組み合わせ)」の重要性を改めて浮き彫りにしたと感じます。一つの地域が不調でも他でカバーできる体制を築けているかどうかが、企業のレジリエンス(回復力)に直結しています。今後は電動化や自動運転への投資も加速する中、既存のガソリン車ビジネスでいかに効率よく利益を確保し続けるかが、生き残りの鍵を握るでしょう。
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