就職情報サイトの最大手である「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、就職活動中の学生が内定を辞退する確率を予測し、そのデータを企業側に販売していた問題が波紋を広げています。2019年08月10日、日本を代表する自動車メーカーであるトヨタ自動車も、このデータを購入していた事実が判明しました。ホンダに続き、国内屈指の大企業がこのサービスを利用していたことが明らかになった形です。
トヨタ自動車の説明によれば、入手したデータはあくまで採用活動の質を向上させるために活用されており、選考過程における合否判定には一切使用していないとのことです。同社は、採用において最も重視すべきは志望者一人ひとりと直接向き合う面談であるという姿勢を強調しています。実際の面談を通じて、学生の適性や入社への真摯な意思を確認することが大前提であると、2019年08月10日時点での取材に対して回答しました。
そもそも「内定辞退率の予測データ」とは、AI(人工知能)が学生のサイト閲覧履歴などの行動ログを分析し、その企業の内定を辞退する可能性を数値化したものです。企業側としては、せっかく出した内定を無駄にせず、採用計画を確実なものにしたいという切実な願いがあるのでしょう。トヨタ自動車も、内定を出した学生とのコミュニケーションをより密に図り、辞退者を最小限に抑える工夫の一環としてデータを導入したと説明しています。
しかし、SNS上では「自分の知らないところで行動を点数化されているようで怖い」といった不安の声や、「天下のトヨタまでそんなデータに頼るのか」という驚きの反応が目立ちます。技術の進歩によって個人の行動予測が可能になった現代だからこそ、データの利用目的や倫理観が厳しく問われています。情報の取り扱いに対する透明性が欠けてしまえば、どれほど優れた技術であっても、就活生からの信頼を損なうリスクを孕んでいると言えるでしょう。
データ活用と人間中心の採用の在り方
私個人の見解としては、企業が効率的な採用を目指すこと自体は否定しませんが、学生のプライバシーや心理的な不安への配慮が不足していた感は否めません。特に新卒採用は人生の大きな節目であり、機械的な数値だけで判断されることへの拒否感は非常に強いものです。トヨタ自動車が「面談が前提」と述べているように、最終的には人と人との対話を最優先にする誠実な姿勢こそが、企業のブランド力を高める唯一の道ではないでしょうか。
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