就職情報サイトの最大手である「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、大きな議論を呼んでいた「内定辞退率予測」の販売サービスを完全に廃止することを決定しました。このサービスは、就活生の行動データをAIで分析し、特定の企業に対してその学生が内定を辞退する確率を数値化して企業側に提供していたものです。2019年08月05日に行われた発表では、学生への説明が不十分であったことを認め、社会的な混乱を招いた責任を取る形となりました。
リクルートキャリア側の社内調査によれば、個人情報保護法に基づいた適切な同意が得られないまま予測データが算出されていた対象者は、合計で7,983名にものぼると説明されています。しかし、実際にこの予測データが何名の就活生に対して算出され、具体的に何社へ販売されたのかといった詳細については、依然として不透明な部分が多く残されているのが現状です。多くの学生が自身の知らないところで評価を数値化されていたという事実は、就職活動の公平性を根本から揺るがしかねません。
デジタル時代における「スコアリング」の光と影
ここで改めて整理しておきたいのが、今回の問題の核となった「スコアリング」という手法です。これは、個人の過去の行動履歴やウェブ上の閲覧データなどを統計的に処理し、将来の行動を予測したり信用度を格付けしたりする技術を指します。効率的なマッチングを実現する一方で、本人の意図しないところで合否の判断材料に使われてしまうという倫理的なリスクを孕んでいるのです。便利さとプライバシー保護のバランスが、今まさに厳しく問われています。
インターネット上のSNSでも、このニュースに対しては非常に厳しい意見が相次いでいます。「学生を商品として扱い、裏で点数を付けていたのは許せない」という怒りの声から、「知らないうちに自分の将来がAIに左右されていたと思うと恐ろしい」といった不安の声まで、若年層を中心に反発が広がっています。企業の採用活動を効率化するという名目があったにせよ、就活生の信頼を裏切るようなデータの使い方は、結果として提供側のリスクを増大させる結果となってしまいました。
編集者の視点から申し上げれば、今回の件は単なる一企業の不祥事ではなく、日本における「データの世紀」の分水嶺になると感じています。AIが導き出した数値はあくまで統計的な傾向に過ぎず、一人ひとりの個性や熱意を完全に推し量ることはできません。技術が進化しても、就職活動の本質は人と人との対話であるべきです。企業側も、安易なデータ依存がブランド価値を毀損させる危険性があることを、今回の教訓から深く学ぶ必要があるのではないでしょうか。
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