世界的な貴金属市場に異変が起きています。なかでも、銀(シルバー)の地上在庫の増加が止まらない状況が注目を集めているようです。この在庫増加は、銀の国際価格にも大きな下押し圧力となっており、市場関係者からは懸念の声が上がっています。特に指標となるニューヨーク商品取引所(COMEX)の取引所在庫は、2016年頃からほぼ一貫して増加を続け、この3年間で驚くべきことに約2倍に膨れ上がっている現状があるのです。
2019年6月上旬時点において、COMEXが保管している銀の在庫量は9,485トンに達しています。COMEXは銀先物取引の世界最大の取引量を誇り、その価格は国際指標として機能するため、この在庫水準は世界的な銀の需給バランスを測る上で極めて重要な指標と言えるでしょう。この在庫の急増は、現物を扱う機関投資家が銀の価値が今後目減りすると見ていることの明確な証拠であると、私は考えます。
在庫が増加している背景には、工業用として使われる銀の需要に大きな緩みが出ていることが挙げられます。近年、銀の需要を牽引してきた太陽光パネルや電子部品の分野で、需要の減速が顕著になっているようです。特に、全需要の約25%を占める電子部品向けは低調に推移しており、世界の半導体市場が2018年後半から調整局面を迎えているという見方が、この流れを加速させていると言えましょう。
また、大きな市場である中国において、スマートフォンの需要が一巡し、需要増加の勢いが落ち着いてきたことも、銀の需要減少観測に繋がっています。さらに、太陽光パネル向けにおいては、補助金政策の動向が大きな影響を与えました。補助金拡充を背景に急拡大していた中国市場で、2018年6月に補助金が事実上廃止されたことが、需要の大きなブレーキとなっているのが現状です。
このような**「銀余り」の状況を反映し、銀の国際相場も弱い値動きを見せています。銀は通常、同じ貴金属である金(ゴールド)の相場と連動しやすい性質を持っていますが、2018年初頭からその連動性が薄れているのが現状です。直近では1トロイオンスあたり14.85ドル前後で推移しており、金(1トロイオンスあたり1,339ドル前後)との価格差は、なんと約27年ぶりの水準にまで広がっているとのこと。貴金属投資家や産業界にとって、この銀相場の低迷は注視すべき重要な課題であると言えるでしょう。
このニュースに対するSNSでの反響を見てみると、「銀は電子部品や太陽光発電には不可欠なのに、需要減は意外だ」「金と銀の価格差がこんなに開くなんて、逆にコモディティ**(商品)投資のチャンスかもしれない」といった声や、「中国の政策転換がこんなにも市場に影響を与えるとは」など、驚きと今後の価格動向に対する期待や不安が入り混じった意見が多く見受けられます。銀は、金と比べて産業用途の比重が高いため、景気動向や特定産業の政策に左右されやすいという特性が、今回の「銀余り」を招いた大きな要因でしょう。しかし、これは一時的な調整局面であり、将来的な新技術の登場や景気回復によって、銀の需要が再び増加する可能性も秘めていると私は期待しています。
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