2019年08月26日、バドミントン界に新たな歴史が刻まれました。スイスのバーゼルで開催された世界選手権の男子ダブルス決勝にて、保木卓朗選手と小林優吾選手のペアが、格上のインドネシアペアを相手に魂の震えるような激闘を繰り広げたのです。惜しくも頂点には届かなかったものの、日本男子ダブルス界にとって極めて価値のある銀メダルを獲得しました。
対戦相手は世界ランキング2位に君臨する、インドネシアのレジェンドペアです。2019年07月に開催されたインドネシア・オープンでもフルゲームの末に苦杯を喫した宿敵に対し、保木・小林組は持ち前の攻撃的なバドミントンで真っ向勝負を挑みました。時速400キロメートルを超えるとも言われる強烈なジャンピングスマッシュを武器に、王者をあと一歩のところまで追い詰める姿は圧巻の一言に尽きます。
試合の明暗を分けたのは、第1ゲームの終盤でした。20対19と先にゲームポイントを握り、勝利への王手をかけましたが、ここで相手の老獪な術中にはまってしまいます。バドミントンにおける「低い展開」とは、相手にスマッシュを打たせないよう、ネット際やドライブでシャトルを低くコントロールする戦術を指します。この高度な駆け引きにおいて、わずかな精度の差が勝敗を分かつ結果となりました。
SNS上でも、この手に汗握る決勝戦に対して大きな反響が寄せられています。「ホキコバの攻撃力は世界一!」「銀メダルでも胸を張ってほしい、感動をありがとう」といった熱いメッセージがタイムラインを埋め尽くしました。特に、最終ゲームで見せた驚異的な粘りに対しては、多くのファンが「次こそは金メダルを獲れる」と、彼らのポテンシャルの高さに期待を寄せています。
どん底からの飛躍を支えた恩師との絆
現在でこそ世界のトップを争う彼らですが、ここまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。2018年には世界ランキングが29位まで低迷し、一時は国内のライバルたちに引き離され、「自分たちはもう追いつけないのではないか」と弱気になった時期もあったといいます。そんな彼らの運命を大きく変えたのが、代表コーチに就任したタン・キムハー氏との出会いでした。
「君たちの実力は世界に通用する。自分を信じて突き進め」というコーチの熱い激励が、沈みかけていた二人の心に再び火を灯しました。この言葉を信じて練習に打ち込んだ結果、彼らのパフォーマンスは劇的に向上し、自信に満ちたプレーを取り戻したのです。今回の銀メダルという結果は、選手と指導者の間に築かれた深い信頼関係が生んだ結晶といえるでしょう。
私は、今回の保木・小林組の活躍は、日本バドミントン界全体のレベルを底上げする起爆剤になると確信しています。これまでは園田・嘉村組が日本男子ダブルスを牽引してきましたが、そこに「ホキコバ」という強力な第3の勢力が台頭したことで、切磋琢磨する環境が整いました。この健全なライバル関係こそが、日本勢をさらに高いステージへと押し上げる原動力になるはずです。
保木選手は試合後、「この一回だけの結果では東京五輪への出場は叶わない」と、早くも次を見据えた厳しい言葉を口にしています。世界選手権での銀メダルは素晴らしい快挙ですが、彼らにとってはあくまで通過点に過ぎないのでしょう。2020年の大舞台に向けて加速する代表争いから、今後も目が離せません。一歩ずつ、しかし確実に世界一への階段を上り続ける二人の旅路を、私たちは全力で応援し続けたいと思います。
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