信州の美しい風景を駆け抜ける第三セクター、しなの鉄道(本社:長野県上田市)から、2019年度の幕開けを告げる最新の決算報告が届きました。2019年08月28日に発表された2019年04月から06月期の単独決算によれば、売上高を示す営業収益は前年同期比で2%増となる11億円を記録したそうです。沿線の魅力を詰め込んだ施策が着実に実を結んでいる様子が伺えますね。
今回の増収を力強く牽引したのは、もはや長野観光の顔とも言える観光列車「ろくもん」の快走です。特に信州の旬を味わえる食事付きプランが、贅沢な旅を楽しみたい層から厚い支持を集めました。SNS上でも「車窓からの絶景と本格的な料理に感動した」といったポジティブな投稿が相次いでおり、体験型観光のニーズを的確に捉えた戦略が功を奏したと言えるでしょう。
さらに、鉄道利用にとどまらない収益の柱として、軽井沢駅にある商業施設の賑わいも大きな役割を果たしました。避暑地としてのブランド力を活かし、買い物客や観光客を呼び込むことで、地域全体の活性化に貢献している点は見逃せません。単なる移動手段としての鉄道から、街の拠点としての鉄道へというシフトが、数字となって表れているのではないでしょうか。
利益面で見えた課題と注目の軽井沢遊休地プロジェクト
一方で、経営の効率性を示す営業利益については、前年同期比で81%減の1800万円という厳しい結果となりました。この主な要因は、安全運行に欠かせない「法定検査」の費用や、エネルギー価格の高騰による電力料金の上昇です。法定検査とは、鉄道車両が法律に基づき一定期間ごとに行う精密な健康診断のようなもので、公共交通機関としての信頼を守るためには避けて通れない必要経費なのです。
同日の記者会見において、春日良太社長は注目が集まる軽井沢町の遊休地活用についても言及しました。大手デベロッパーの三菱地所と継続的な協議を重ねていることを明かしましたが、具体的なプランの公表については時期尚早として言葉を濁しています。この一等地の再開発が、将来的に同社の経営基盤をどれほど強固なものにするのか、地元住民や投資家からの期待感は日増しに高まっている状況です。
編集者としての視点では、インフラ維持コストの増大に苦しみながらも、付加価値の高い観光列車で攻めの姿勢を崩さないしなの鉄道の奮闘を高く評価したいと感じます。単に運賃を稼ぐだけでなく、地域経済の「ハブ」として機能しようとする熱意が伝わってきます。今後、軽井沢の再開発が具体化すれば、単なる鉄道事業を超えた大きな飛躍を遂げる可能性を十分に秘めているはずです。
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