トヨタ・スズキ提携にみる令和の「幕末」!武田泰淳が描いたモータリゼーションの熱狂と自動車業界の劇的変遷

今からちょうど50年前となる1969年、作家の武田泰淳氏は妻の百合子さんがハンドルを握る愛車に揺られ、東海道を巡る旅へと繰り出しました。この旅の記録は「新・東海道五十三次」として結実し、当時の日本を席巻していたモータリゼーションの圧倒的な熱量を今に伝えています。モータリゼーションとは、自動車が広く一般家庭に普及し、生活に欠かせない道具へと変化していく社会現象を指す言葉です。

当時の人々にとって「マイカー」を持つことは、単なる移動手段を手に入れる以上の、輝かしい成功の象徴に他なりませんでした。泰淳氏の記述からは、ガソリンという燃料さえもどこか神秘的な輝きを放つ、未知のエネルギーとして捉えられていたことが伺えます。SNS上でも「昭和の車への憧れは今の比ではなかったはず」「不便さの中にロマンがあった時代だ」といった、当時の熱狂を懐かしむ声や驚きの反応が数多く寄せられているようです。

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令和の「雄藩同盟」が加速させる自動車業界の地殻変動

泰淳氏はかつて、日本の自動車メーカー各社を江戸時代の「藩」になぞらえ、その勢力争いを独自の視点で描きました。しかし、2019年08月28日に発表されたトヨタ自動車とスズキによる資本提携のニュースは、まさに現代版の「薩長同盟」とも呼べる大きな衝撃を業界に与えています。かつての独立独歩な気風は影を潜め、生き残りをかけた巨大な勢力による同盟と離反のドラマが、今まさに目の前で繰り広げられているのです。

現代の自動車を取り巻く環境は、泰淳氏が旅をした半世紀前とは比較にならないほど激変しています。所有から利用へと価値観が移り変わる「カーシェアリング」の普及や、環境負荷を抑える「電気自動車(EV)」へのシフト、さらにはAIが運転を代行する「自動運転技術」の台頭がその象徴です。これらはCASEと呼ばれる次世代の産業革命であり、従来の自動車メーカーという枠組みそのものを根底から揺さぶり続けています。

50年前、神秘的な液体に胸を躍らせた時代から、私たちは今、プログラムと電気が車を動かす新たな地平に立っています。泰淳氏が「藩」と呼んだメーカーたちが、テクノロジーという黒船を前に手を取り合う姿は、時代の必然と言えるでしょう。個人的には、便利さと効率を追求する現代だからこそ、泰淳氏夫妻が感じたような「移動そのものへの純粋な高揚感」を、最新技術がいかに再現してくれるのかに注目したいと感じています。

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