老朽化システム「COBOL」の壁!統計不正が招いた2000万人超への影響とIT人材の課題

厚生労働省で発覚した、いわゆる「統計不正問題」は、約2015万人分もの保険給付金に誤りを生じさせるという、極めて重大な事態を引き起こしました。この問題の発生経緯を辿ると、システムの老朽化と、かつての主流プログラミング言語「COBOL(コボル)」で書かれたシステムの改修を怠ったことに原因があることが判明しています。具体的には、およそ15年前に調査方法を変更した際、この古いシステムの改修が適切に行われなかったことが、長きにわたるデータの誤りを生む温床となってしまったのです。

「COBOL」とは、1959年に事務処理向けに開発された、還暦を迎えるほどの歴史を持つプログラミング言語で、現在でも多くの企業や官公庁の基幹システムで稼働しています。この統計不正問題は、長期間にわたってシステム改修を怠った結果、現代の業務内容と古いシステムとの間に深刻な「齟齬(そご)」が生じ、大きな国民生活への影響を及ぼしてしまった事例として、私たちIT業界の人間にとって非常に重い教訓であると言えるでしょう。

この問題を受けて、厚生労働省は、雇用保険などについて誤って少額になっていた給付金を追加で支払うためのシステム改修を急いでいる状況です。しかし、長年にわたって蓄積された誤りの是正は一筋縄ではいかないのが実情です。厚労省労働市場センター業務室によると、古いデータは紙などの形でしか残されていないケースが多く、「現行システムに入力する仕組みと、その入力作業が必要になる」と説明されており、手作業による膨大なデータ修正が求められます。

この報道がなされた2019年5月30日時点で、SNSでは「COBOLシステムの維持・管理が、現代のIT課題を象徴している」といった意見や、「統計の信頼性が揺らぐ事態を招いた組織の体質に問題があるのではないか」といった厳しい反響が見受けられました。また、「古いシステムを理解できるIT技術者が年々減っている現状も無視できない」と、IT人材の確保と育成の重要性を指摘する声も多く上がっています。

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COBOLシステムの「負の遺産」が突きつけるIT人材配置の重要性

今回の統計不正問題は、システムの専門知識を持ったIT技術者(エンジニア)の適切な配置と、システムが意図通りに機能するかを確認するテスト(検証)の重要さを改めて私たちに突きつけています。COBOLのような古い言語で構築されたシステムは、その保守・運用に特有の知識が必要であり、担当者が異動や退職で変わる際に、その技術や知識が引き継がれずにブラックボックス化してしまうリスクがあります。

私は、この問題の根本には「レガシーシステム」と呼ばれる、古い技術や仕組みで構築されたシステムを、費用や工数を惜しんで放置してきたツケが回ってきたのだと考えます。特に、国民生活に直結する官公庁のシステムにおいては、新しい技術を盲目的に取り入れる必要はありませんが、時代の変化に合わせてシステムの構造や処理内容を定期的に見直し、適正な改修・移行(マイグレーション)を行うことが、組織の責務であると言えるでしょう。

今回の教訓を活かし、行政システム全般において、システムの健全性を保つための継続的な投資と、それを担う優秀なIT人材の確保・育成が急務だと提言したいです。システムは一度作ったら終わりではなく、生き物のように変化する社会の要請に対応し続ける必要があるのです。

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