日本のエネルギー業界に大きな激震が走りました。東京電力ホールディングス傘下の東京電力エナジーパートナー(EP)が、ついに九州エリアでの家庭向け電力販売に乗り出すことを決定し、2019年08月30日から事前の受付を開始したのです。電力小売り界の巨人が、ついに「火の国」九州の市場へとその歩みを進めることになります。
現在の九州は、実は全国でも屈指の「電気代激戦区」として知られています。九州電力の料金設定は、全国で2番目に安いという驚異的な水準を誇っており、さらに西部ガスといった有力な新電力会社が顧客を激しく奪い合っている状況です。SNS上でも「東電が来たらもっと安くなるのか」「九電の牙城を崩せるのか」といった、期待と不安が入り混じった声が数多く寄せられています。
電力王者の戦略と「特定重大事故等対処施設」がもたらす影響
東電EPが打ち出した戦略は、九電の標準的なプランよりも約3%安い価格設定にするという非常に攻撃的なものです。この背景には、新規顧客の開拓はもちろんのこと、進学や転勤で首都圏から九州へ移り住む既存のユーザーを逃さないという「顧客の囲い込み」への強い執念が感じられます。利便性を武器に、物理的な距離を超えたサービス展開を目指しているのでしょう。
一方で、迎え撃つ九州電力には懸念材料も存在します。それは、原子力発電所に設置が義務付けられている「特定重大事故等対処施設(特重)」の建設遅延です。これはテロ攻撃など不測の事態に備えるためのバックアップ設備を指しますが、この工事が間に合わないことで、2020年03月18日から川内原発1号機が運転停止に追い込まれる見通しとなっています。
原発が停止すれば、代替として燃料費の高い火力発電を動かさざるを得なくなり、それが電気料金の押し上げ要因になることは避けられません。編集部としては、この絶妙なタイミングでの東電参入は、九電の弱点を突く戦略的な一手であると感じます。今後、大手同士のプライドをかけた「体力勝負」の安売り合戦が、利用者の家計にどのような恩恵をもたらすのか、目が離せない状況が続くでしょう。
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