2019年08月30日、日本の工作機械業界を牽引するリーダーの一人、オークマの花木義麿会長が今後の産業展望について熱い想いを語りました。現在、世界的な規模で労働力不足が深刻化しており、それと反比例するように工作機械市場は10兆円を超える巨大なマーケットへと膨れ上がることが予測されています。こうした激動の時代において、日本が誇る「ものづくり」の精神をいかに維持し、世界と戦っていくべきかという命題に、同氏は一つの明確な答えを提示したのです。
花木会長が特に強調しているのは、日本の強みである「現場力」の再定義にほかなりません。現場力とは、単に作業員が優秀であることだけを指すのではなく、長年の経験で培われた微細な調整能力や、不測の事態に対応する臨機応変な判断力を意味します。しかし、現状は部品などを供給するサプライヤーの不足が深刻な影を落としています。この課題を乗り越えるためには、限られた人的リソースを最大限に活用するための画期的なアプローチが不可欠であると、業界全体に警鐘を鳴らしました。
そこでキーワードとして浮上するのが、普及価格帯における「自動化・無人化」技術の徹底的な追求でしょう。これまでの自動化といえば、多額の投資が可能な大企業による大規模な設備が中心でした。しかし、今後はより幅広い層が導入しやすい価格帯で、高度な自律運転を可能にする技術が求められています。SNS上でも「中小企業の現場こそ自動化が必要」「価格がこなれてくれば一気に普及するはず」といった、期待を込めた前向きな意見が数多く飛び交っているのが印象的です。
ここで言う「工作機械」とは、金属などの材料を削ったり穴を開けたりして、目的の形に作り上げる「機械を作るための機械」を指し、別名「マザーマシン」とも呼ばれる極めて重要な存在です。この機械が自律的に動き続け、人の手を介さずに精密な加工を完了させる「無人化」こそが、日本勢が世界で生き残るための生命線となります。熟練工の技をデジタル化し、誰でも高い品質を実現できるシステムの構築は、まさに製造業のデジタルトランスフォーメーションの最前線と言えるでしょう。
編集者の視点から申し上げますと、花木会長の指摘は非常に現実的かつ野心的です。単なる人手不足の解消という消極的な理由ではなく、日本の技術が世界標準を握るための攻めの戦略として、自動化を捉えている点に大きな意義を感じます。技術のコモディティ化が進む中で、日本が「職人の魂を宿したAI」を機械に実装できれば、これほど強い武器はありません。2019年08月30日のこの提言は、将来の製造業のあり方を決定づける分水嶺となるに違いありません。