2019年6月14日、筆記具の大手メーカーであるぺんてる株式会社を巡って、注目すべき動きが明らかになりました。6月26日に予定されている株主総会において、一人の個人株主が、会社に対して「自社株買い」の実施を提案しているというニュースです。自社株買いとは、企業が自ら発行した株式を市場などから買い戻す行為を指し、一般的に株価の押し上げ効果や、資本効率の改善といった株主還元策として行われるものです。非上場企業であるぺんてるの株主総会でこのような提案が出されるのは、異例の事態といえるでしょう。
しかし、この個人株主の提案に対し、ぺんてるの会社側は反対の姿勢を示しています。その主な理由としては、株式の取得にかかる費用が膨大になることなどが挙げられているようです。当然、自社株買いを実施すれば、会社の資金が流出することになりますから、経営陣としてはその費用対効果や、他の事業への影響を慎重に考慮する必要があるのでしょう。この提案の背景には、ぺんてるの経営権を巡る、複雑な状況が関係していると考えられます。
というのも、ぺんてるは現在、上場企業ではありませんが、全株式の約37%という最大の持ち分を持つ筆頭株主として、ある投資ファンドが存在していたのです。そして、文具業界のもう一つの大手企業であるコクヨ株式会社が、2019年5月に、この投資ファンドが保有していたぺんてる株を取得したことが判明しています。これにより、コクヨはぺんてるの有力な株主の一員となったわけですが、ぺんてる側はこのコクヨによる株式取得に対して、友好的ではない姿勢を示していると報じられており、緊張感が高まっています。
今回の個人株主による自社株買い提案は、コクヨの持ち株比率を下げ、影響力を削ぐことを目的としている可能性があります。もし自社株買いが実施され、市場に流通する株数が減れば、コクヨが持つ株式の相対的な価値は上がりますが、全体の株式に対する比率は維持できるとは限りません。この提案は、ぺんてるの経営の独立性を守りたいと願う勢力の意向を反映したものと見ることができます。
SNS上では、「非上場企業の買収劇なんて、めったに聞かないから面白い」「ぺんてるの看板商品が好きだから、なんとか独立を保ってほしい」といった意見や、「コクヨがどう動くのか、今後の展開に注目したい」というような、関心の高さを示す反響が多く見受けられます。また、「自社株買いが本当に実現するなら、個人株主の意見が経営に影響を与える、良い前例になるかもしれない」と、**株主行動主義(アクティビズム)**の観点から期待を寄せる声もあるようです。
私見ではありますが、ぺんてるという歴史あるブランドが、どのようにして自身のアイデンティティと独立性を守ろうとするのか、そして筆頭株主となったコクヨがどのような姿勢で臨むのか、文具業界の勢力図にも影響を及ぼすこの一連の動きは、非常に興味深いものです。今後の株主総会の行方、そして両社のさらなる動向から、一時も目が離せない状況が続くでしょう。
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