2019年08月23日、アメリカのワイオミング州で開催された国際経済シンポジウム、通称「ジャクソンホール会議」において、世界が注目する重要な発言が飛び出しました。米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、激化する米中対立を前にして、現在の状況がいかに困難であるかを率直に吐露しています。議長は、現在の貿易摩擦がもたらす不確実性に対し、過去の政策対応に指針となるような先例が全く存在しないと述べ、中央銀行としての対応の難しさをにじませました。
ジャクソンホール会議とは、世界各国の主要な中央銀行総裁や経済学者が一堂に会し、世界経済の羅針盤を議論する歴史ある集まりです。ここでパウエル議長は、貿易政策そのものは政府や議会が司る領域であると前置きしつつも、その不透明さが雇用や物価に波及するのであれば、金融政策もまた無関係ではいられないという原則論を強調しました。金融政策は本来、金利の操作を通じて個人消費や企業の設備投資を後押しする強力なエンジンですが、国際的な貿易ルールを調整するための万能薬ではないというわけです。
SNS上では、このパウエル議長の弱気とも取れる発言に対して、「FRBでもお手上げなのか」「市場はさらなる利下げを織り込みにいくだろう」といった不安と期待が入り混じった声が急増しています。特に投資家たちの間では、2019年07月末に約10年半ぶりとなる利下げが実施されたばかりであるにもかかわらず、その後の世界情勢の急変に驚きを隠せない様子が見て取れます。実際に、米中摩擦の激化だけでなく、香港のデモやイギリスのEU離脱問題、さらにはイタリアの政情不安など、リスク要因は枚挙にいとまがありません。
私自身の見解を述べさせていただきますと、中央銀行のトップが「見本がない」と言及する事態は、まさに私たちが歴史的な転換点に立っている証左だと言えるでしょう。これまでの経済理論が通用しない「政治主導の市場環境」において、FRBは極めて綱渡りの判断を迫られています。パウエル議長が「適切な行動をとる」と明言したことは、追加利下げへの強い意欲を示したものと解釈できますが、それは同時に、従来の手法だけでは経済の減速を食い止めるのが難しいという危惧の裏返しでもあると感じます。
市場では株安や長期金利の急激な低下が続いており、景気後退への警戒感が日増しに強まっています。現在の米経済そのものは底堅さを維持しているものの、外部環境の悪化がその勢いを削ぐ可能性は否定できません。2019年08月24日時点の情勢を見る限り、FRBが今後どのようなタイミングで、どの程度の規模の追加緩和に踏み切るのかが、世界経済の命運を握る最大の焦点となることは間違いないでしょう。私たちは今、誰も経験したことのない経済の「新常態」に直面しているのです。
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