驚異の利益率50%超え!ITの常識を覆す「オービック」流・逆張りの経営哲学とは?

日本企業の多くが欧米に比べて収益性の低さに悩まされる中、異次元の数字を叩き出している企業が存在します。独立系システムインテグレーターの雄、オービックです。2019年9月13日時点のデータでは、東証1部の上場企業のうち営業利益率が30%を超える企業はわずか62社ですが、同社はその中でも群を抜いています。2019年3月期の決算において、同社が記録した営業利益率はなんと51.2%。これは売上の半分以上が利益として残る計算であり、IT業界の平均を遥かに凌駕する驚異的な水準です。

同社の快進撃を支えているのは、1997年の発売以来、中堅企業向けに特化して磨き上げられてきた統合基幹業務システム(ERP)「オービック7」です。ERPとは、会計、人事、生産、販売といった企業内の膨大な情報を一元管理し、経営の効率化を図るための「ITの背骨」とも言える重要なソフトウェアを指します。同社はこの分野で、世界大手のSAPや国内大手の富士通に次ぐ国内シェア3位に食い込んでおり、特に対象を中堅企業に絞った市場では、不動の首位を走り続けているのです。

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「外注なし・新卒至上主義」がもたらす最強の内製化モデル

一般的なIT企業では、プロジェクトの規模に応じて外部の協力会社に作業を委託する「外注」が常識とされています。しかし、オービックはあえてその逆を行く「内製化」に徹底してこだわってきました。橘昇一社長は、開発ノウハウをすべて社内に蓄積することが高収益の鍵であると断言します。外部に頼らず自社のエンジニアだけで開発を行うことで、技術がブラックボックス化するのを防ぎ、開発速度と品質を同時に高める独自のサイクルを確立しているのです。

さらに驚くべきは、その人材戦略です。転職が当たり前のIT業界において、同社は従業員のほとんどを新卒で採用し、生え抜きのプロフェッショナルを育成しています。この「逆張り」の姿勢は、SNS上でも「今の時代に珍しいが、理にかなっている」「愛社精神と技術継承の理想形」といった驚きと称賛の声を集めています。特定のシステムに特化した精鋭部隊を作り上げることで、他社には真似できない圧倒的な業務効率を実現しているのでしょう。

実は、同社もかつては大手企業への販路拡大を狙い、外注を活用した苦い経験がありました。2000年代中頃、大規模案件に挑む中で管理が複雑化し、不採算案件が発生したのです。この失敗を教訓に、2007年に専務に就任した橘氏は、あえて「大手撤退」という英断を下しました。一時の売上拡大よりも、自分たちの目が届く範囲で完璧な仕事をする。この潔さこそが、現在の25期連続営業増益という金字塔を打ち立てた原動力になったのだと感じます。

営業とSEの境界をなくす「二刀流」のジョブローテーション

オービックの効率性を語る上で欠かせないのが、営業担当とシステムエンジニア(SE)の境界を曖昧にする独自の教育体制です。文系・理系を問わず採用し、入社後は両方の職種を経験させるジョブローテーションを導入しています。これにより、営業は現場の技術的な勘所を理解し、エンジニアは顧客が本当に求めているビジネスの課題を察知できるようになります。この「二刀流」の社員たちが、代理店を通さない直販体制で顧客と向き合うことで、情報の乖離が防がれているのです。

「社員の担当替えは日常茶飯事」という柔軟な組織文化は、社内のコミュニケーションコストを劇的に下げました。顧客の要望を即座に開発へフィードバックし、無駄な機能を削ぎ落とした使い勝手の良いシステムを提供する。このシンプルかつ強力なビジネスモデルは、DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれる現代において、迷走する多くの日本企業が立ち返るべき「商売の本質」を示しているように思えてなりません。

現在、同社は整えられた盤石の体制を武器に、かつて撤退した大手企業市場へ再び挑戦を始めています。2019年10月01日現在、クラウド化の波や市場の成熟といった課題はありますが、過去の失敗を糧に「身の丈」を広げてきたオービックに死角は見当たりません。業界の常識を疑い、独自の信念を貫き通す同社の姿勢は、高収益を目指すすべてのビジネスパーソンにとって、これ以上ない生きた教科書と言えるでしょう。

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