「トマトの会社」から「野菜の会社」へ!カゴメ・山口聡新社長が挑む食品業界サバイバル戦略と技術革新の全貌

2019年09月30日、日本を代表する食品メーカーであるカゴメ株式会社が、次期社長に山口聡取締役常務執行役員の就任を発表しました。名古屋市内の本社で開催された記者会見において、山口氏は「人口減少に伴い、食品業界でも熾烈な淘汰が加速するだろう」という強い危機感を表明しています。同氏が掲げるビジョンは、これまでの代名詞であったトマト中心の事業から脱却し、あらゆる野菜を網羅する「野菜の会社」へと進化を遂げることによる持続的な成長です。

このトップ交代劇に対し、SNS上では「ケチャップのイメージが強いカゴメがどう変わるのか楽しみ」「健康志向の時代にマッチした戦略だ」といった期待の声が数多く寄せられています。今回の人事における最大の注目点は、山口氏が同社初となる「技術畑」出身の社長であるという事実でしょう。これまで野菜事業本部長として、機能性表示食品の開発や革新的なサービスの創出を牽引してきた実績が、今後の経営にどう反映されるのかが焦点となります。

山口氏がこれまで手掛けてきた象徴的なプロジェクトに、光学機器メーカーと共同開発した「ベジチェック」が挙げられます。これはセンサーに手のひらを当てるだけで、皮膚のカロテノイド量を測定し、野菜摂取の充足度を数値化できる画期的な機器のことです。単に商品を販売するだけでなく、個人の健康状態を可視化するサービスを提供することで、消費者の「野菜を食べよう」という意欲を科学的なアプローチから底上げしようとする狙いが伺えます。

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加工食品依存からの脱却と生鮮・サービス事業への多角化戦略

現任の寺田直行社長は、今回の交代を「会社を劇的に変えるための決断」であると強調しました。カゴメの直近の業績を振り返ると、2018年12月期には連結純利益が3期連続で過去最高を更新するなど、極めて好調な推移を見せています。しかし、その利益の9割以上がケチャップや野菜ジュースといった加工食品に依存しているのが現状です。市場が縮小する国内において、特定のカテゴリーに頼り切る「一本足打法」の経営スタイルは、将来的なリスクを孕んでいます。

そこで新体制が目指すのは、事業領域の大胆な拡大と収益源の多角化です。具体的には、加工品だけでなく「生鮮野菜」そのものの取り扱いを強化し、農家と密に連携しながらベビーリーフなどの新たな生産品目を増やす計画を打ち出しています。ITや最先端技術を駆使して、消費者がより手軽に、そして自発的に野菜を摂取できる環境を整えることが、結果として自社の成長を加速させるという、極めて合理的かつ現代的な戦略だといえるでしょう。

私自身の見解を述べさせていただくと、この「技術者による経営」へのシフトは、現代の食品メーカーが生き残るための正解の一つだと感じます。単なる「美味しいものを作る」段階から、消費者の健康寿命を支える「インフラとしての食」への転換が求められているからです。ベジチェックを企業や自治体の健康経営に役立てるという試みは、BtoB(企業間取引)領域での新たな収益の柱となる可能性を秘めており、今後の展開から目が離せません。

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