今、私たちが普段何気なく使っている梱包資材の世界に、劇的な変化の波が押し寄せています。2019年9月19日、東京証券取引所第1部において巴川製紙所の株価が制限値幅の上限まで買われる「ストップ高」を記録し、投資家たちの間で大きな話題となりました。この急騰の背景には、同社の子会社である日本理化製紙が製造する「本物のガムテープ」が、ネット通販大手のアマゾンに採用されたという情報が駆け巡ったことがあります。
SNS上では「あの水で濡らすタイプが復活するのか」「エコなのは知っていたけれど、まさか今さら脚光を浴びるとは」といった驚きと期待の声が溢れています。利便性を追求してきた現代社会において、一見すると手間のかかるアナログな道具が、なぜこれほどまでに求められているのでしょうか。その理由は、世界的な課題となっている「環境負荷の低減」と「脱プラスチック」というキーワードに隠されています。
知られざる「真のガムテープ」とリサイクルの仕組み
ここで一つ、皆さんに知っていただきたい豆知識があります。実は、私たちが家庭で日常的に使っている粘着力の強いテープは、正確には「粘着テープ」と呼びます。本来の「ガムテープ」とは、クラフト紙の裏面に乾燥した糊が塗られており、切手のように水で濡らすことで初めて接着力を発揮するものを指すのです。この接着剤には植物性の「デンプンのり」が使われており、化学物質に頼らない自然由来の設計となっています。
この天然素材こそが、リサイクルにおいて決定的な役割を果たします。一般的な石油由来の粘着テープは、段ボールを再生する過程で不純物として取り除く必要がありますが、ガムテープは100パーセント水に溶けるため、貼ったまま古紙として再利用できるのです。つまり、梱包された箱をそのままリサイクルに回せる「究極のエコ資材」と言えるでしょう。1951年から製造を続ける老舗の技術が、今再び脚光を浴びています。
コストを超えた価値!バイオマスラベルも続々登場
一方で、ガムテープの使用には専用の加湿・切断機械が必要であり、導入コストは従来のOPP(二軸延伸ポリプロピレン)テープよりも4割から5割ほど高くなります。それでも採用が進むのは、環境への配慮が企業のブランド価値を左右する時代になったからに他なりません。専用機を使えばワンプッシュで必要な長さにカットできるため、大量の荷物を扱う現場では、むしろ生産性の向上に寄与するという側面も持ち合わせています。
こうした動きはテープだけに留まりません。粘着材大手のリンテックも、2019年7月に植物由来原料を20パーセント配合した新しい粘着剤を発売しました。「バイオマスマーク」の認定を受けたこの素材は、冷蔵・冷凍食品やワインボトルといった厳しい環境下でも剥がれにくい強粘着タイプです。環境への優しさを追求しながらも、機能性を一切妥協しない企業の姿勢は、これからの市場において強力な武器となるはずです。
編集者の視点:利便性の先にある「持続可能な選択」
かつては効率の良さに押され、売上高が最盛期の4分の1まで落ち込んでいたガムテープが、令和の時代に「復権」を果たそうとしている姿には感慨深いものがあります。安くて便利なプラスチック製品を選ぶのは簡単ですが、地球の未来を考えたとき、私たちは少しの手間やコストを受け入れるべき局面に立たされています。企業のこうした先進的な取り組みが、消費者の意識を変える大きな一歩になることを願ってやみません。
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