【100億円の幕引き】「格安テレビ」のオリオン電機を継承した企業が特別清算へ。家電業界の荒波と「計画された最期」

学生時代、一人暮らしを始めるときに家電量販店で「ORION」というロゴの入った手頃なテレビやビデオデッキにお世話になった方は多いのではないでしょうか。2019年5月30日、その懐かしい名前に連なる企業が、ひっそりと、しかし巨額の負債とともにその歴史に幕を下ろそうとしていることが判明しました。福井県越前市に拠点を置く「おおぞら管理」が、5月20日付で福井地方裁判所から特別清算の開始命令を受けていたのです。

「おおぞら管理なんて会社、聞いたことがない」と思われるかもしれません。しかし、この会社こそが、かつてジェネリック家電(安価で必要十分な機能を持つ家電)の雄として知られた「オリオン電機」の事業を受け継ぎ、AV機器の製造を手掛けていた企業の成れの果てなのです。負債総額は約100億円。このニュースに対し、SNS上では「安くて良いテレビを作っていたのに残念」「また一つ、日本の家電ブランドの灯が消えるのか」といった、惜しむ声や驚きの反応が広がっています。

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事業を切り出し、抜け殻となって迎えた最期

今回の倒産劇には、少し複雑なカラクリがあります。実は、会社がそのまま倒れたわけではありません。業績不振に苦しんでいた同社は、すでに主要な事業を他社へ譲渡していました。電子基板部品の製造事業は2018年11月にエヌビーシーへ、そして看板であったAV機器の設計・開発事業は2019年1月にドウシシャへと引き継がれています。

つまり、収益を生む「事業」という中身を別の会社に移し、残ったのは巨額の借金と会社の「箱」だけ。その箱の名前を、2019年3月に「オリオン電機」から「おおぞら管理」へと変更し、今回の特別清算へと至ったわけです。ここで言う「特別清算」とは、借金超過で解散した会社が、裁判所の監督の下でお金を返し、会社を消滅させる手続きのこと。いわば、身辺整理をして綺麗に終わらせるための「終活」と言えるでしょう。

低価格競争の果てに

この会社はもともと、2014年に「ビーエーシー北陸」として設立され、事業譲渡を受けて「オリオン電機」を名乗っていました。しかし、わずか数年で事業を切り売りすることになった背景には、海外メーカーとの熾烈(しれつ)な低価格競争があったことは想像に難くありません。4Kテレビなどが普及する中で、かつてのような「安さ」だけでは戦えない厳しい現実が、そこにはあります。

私自身の視点で申し上げれば、これはある意味で非常にドライで、現代的な経営判断による幕引きだと感じます。ブランドや技術といった「資産」をドウシシャのような企業に託し、生き残らせることを選んだのですから。私たちの記憶に残る「ORION」の魂は、形を変えて生き続けるのかもしれません。しかし、100億円という負債の重みは、ものづくり日本の苦悩を雄弁に物語っているようで、一抹の寂しさを禁じ得ません。

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