受験や定期テストの期間、中高生にとって自宅以外の勉強場所、いわゆる「ソト勉」の確保は深刻な課題でございます。図書館や大手学習塾の自習室は常に満席状態ですし、カフェは費用がかさむ上に長時間居座ることは遠慮しがちになるでしょう。このような切実なニーズに応えるため、地域社会で中高生が気軽に利用できる「もうひとつの居場所」づくりが、今、全国的に広がりを見せています。これらの新たな学びのスポットは、単に学習する場という枠を超え、多様な人との交流を通して新しい興味や進路のヒントを得る貴重な機会を提供しているのです。
東京都世田谷区、東急二子玉川駅近くの町会会館で原則毎週月曜と水曜に開かれている「放課後たまり場自習室」は、その先駆けといえるでしょう。ここは「
実際に利用している高校1年生の男子生徒(15歳)は、勉強への集中だけでなく「別の高校に進んだ同級生と会って『生存確認』できるのも魅力」だと笑顔で話しており、単なる自習室以上の価値を見出している様子が伺えます。また、この場所には、ボランティアのシニア層や、かつてこの自習室を利用していた大学生が訪れて数学やテスト対策の助言をすることもあります。さらに、美容師やスポーツ選手といった多岐にわたる職業の大人が体験談を語る企画もあり、参加した子どもたちは「将来の職業を考える機会になる」と目を輝かせています。勉強のサポートだけでなく、多世代の交流から生まれる進路選択や人生観への影響は計り知れないでしょう。
📚多世代交流が育む「生きた学び」の場
特に注目すべきは、地方でこそこうした多世代交流の学び場が大きな存在感を示している点でしょう。高知県土佐町にある
デザイナーや高齢者住宅の運営会社代表など、様々な分野の講師を招いた座談会には多くの大人が「学び」を目的に参加されます。その傍らで勉強している中高生が自然と手を休めて聞き入る姿は、ここでは日常の光景だそうです。運営者である
また、交通の要衝である「駅」に注目した動きも生まれています。茨城県土浦市にある
💡「勉強場所がない」という社会の課題に、地域が応える
さらに、群馬県渋川市では
東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の調査(複数回答)によりますと、小学生の約8~9割が家のリビングルームで勉強するのに対し、中学生では63パーセント、高校生では45パーセントと、年齢とともに自宅のリビングで勉強する割合は減少していることが判明しています。その代わりに、自室やソト勉が増加しており、高校生は図書館(16パーセント)や学習塾(15パーセント)、カフェなど(8パーセント)の利用が多い傾向にあるのです。
ベネッセ教育総合研究所の岡部悟志主任研究員は、この傾向を「生活空間や人間関係の広がりを反映した結果」と分析しつつ、スマートフォンなどの普及が勉強場所を問わない学習スタイルを加速させていると指摘しています。一方で、「自宅の外で場所を確保するのが、様々な事情で難しくなっているのも確かで、ニーズとのミスマッチが生じている」とも述べていらっしゃいます。実際に
このような状況を鑑みますと、今回ご紹介したような地域の資源を活用した新たなソト勉のスポットは、まさに中高生の抱える課題の溝を埋める画期的な解決策だと断言できます。単に勉強する場所の提供にとどまらず、多世代との交流を通じて未来への興味を育み、社会と関わる機会を与えるこれらの活動は、次世代を担う若者たちの成長にとって、かけがえのない財産となるでしょう。今後の「地域共育」のあり方を占う上で、非常に重要な潮流だと私たちは考えています。
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