2019年10月01日から始まった中国の建国記念日を祝う大型連休「国慶節」が、2019年10月07日に幕を閉じました。中国商務省が同日に発表したデータによると、期間中の国内における小売・飲食業の売上高は1兆5200億元、日本円にして約22兆8000億円に達しています。数字だけを見れば膨大な市場規模に圧倒されますが、前年同期比の伸び率は8.5%にとどまりました。
この成長率は、2018年10月の大型連休で記録された9.5%増という数字を下回る結果となり、消費の勢いが緩やかになっている実態が浮き彫りとなりました。SNS上では「財布の紐を締めざるを得ない」といった現地の切実な声が散見され、かつての爆買いの熱狂とは異なる落ち着いた空気が広がっています。背景には、長期化する米中貿易摩擦などの影響による、先行きの見えない景気減速感があるのでしょう。
消費者の間では「節約志向」が急速に強まっており、生活防衛に走る動きが顕著です。ここで言う節約志向とは、単に安いものを買うだけでなく、将来の不安に備えて不要不急の支出を控える心理状態を指します。また、為替市場における人民元安も大きな足かせとなりました。自国通貨の価値が下がることで海外旅行の割高感が強まり、これまで活発だった観光客の動きにもブレーキがかかっています。
巨大市場が直面する踊り場と今後の展望
編集者の視点から見れば、今回の結果は中国経済が大きな転換期、いわゆる「踊り場」に差し掛かっている象徴だと感じます。これまでは右肩上がりの成長が当たり前でしたが、今後は消費の質や内訳が厳しく吟味される時代に突入するはずです。企業にとっては、単なる大量消費を期待するのではなく、消費者の防衛本能に寄り添った付加価値の提供がこれまで以上に求められることになるでしょう。
2019年10月08日現在、世界が注目する中国の個人消費は、確かに勢いを落としつつあるのかもしれません。しかし、8.5%という伸び率自体は、他の主要国と比較すれば依然として高い水準を維持していることも事実です。この減速を一時的な調整と捉えるか、あるいは深刻な低迷の始まりと見るべきか、今後の政府による景気刺激策の動向から目が離せそうにありません。
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